カミングアウト
- カテゴリ:日記
- 2013/11/16 12:18:32
天ぷらにソースをかけますか?
ニッポン食文化の境界線
野瀬泰申
新潮文庫
自分が常識だと思っていた事が、日本全国の常識ではなかったら?
日本テレビの「秘密のケンミンSHOW」を見ていると、そんな思いに陥る事が度々ある。
本書は、その「秘密のケンミンSHOW」に先駆ける事、4年ほど前に出版された「全日本「食の方言」地図」(日本経済新聞社)の文庫版。
質問内容は
・天ぷらにソースをかけますか?
・紅ショウガの天ぷらを食べますか?
・「ぜんざい」と「お汁粉」の呼び方、どっちが優勢?
・中華まんには何かつけますか?
・「肉まん」と呼びますか?「豚まん」ですか?
・メロンパン?それともサンライズ?
・「お肉」と言えば、何の肉?
などなど・・・
最後の章は、東海道を日本橋から三条大橋まで歩き、
青ネギと白ネギ、うなぎの背開きと腹開き、また蒸すか蒸さないかの分岐点、
「サンマーメン」「イルカ食」「名古屋式のモーニングセット」などの勢力範囲、
などを著者自身の足で確かめる旅の記録となっている。
質問内容への投票結果を都道府県単位に集計した地図が面白い。
東西できれいに分かれたり、ある一定の地域にだけ集中していたり、なぜか「飛び地」があったり、といろいろ。
その理由は、その地域ならではの「生活の知恵」や「必要に迫られた結果、生み出されたもの」だったりする。
なるほど、と思う理由だったり、昔から苦労していたのが偲ばれる理由だったり・・・。
ただし、理由がよく分からない、というケースもある。
以前、読んだ「全国アホ・バカ分布考」(松本修)では、人を罵倒する言葉「アホ」と「バカ」の境界線を探る事から始まった調査が柳田國男の「方言周圏論」を裏付ける論文にまでなっていた。
(その時の感想
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=863327&aid=44311238)
本書内の質問内容も、深く突き詰めていけば、何かスゴイ事実が判明しそうな感じがする。
特に、東西で分かれる場合、なぜかフォッサマグナ西縁の糸魚川静岡構造線(糸静線)付近で分かれるパターンが多い、というのが不思議。
(当然、ある線できれいに分かれるわけではなく、境界線付近は混交地帯があるが・・・)
昔、関ヶ原が、食べ物・文化などの「天下分け目」になっている事が多い、と聞いた事がある。
関ヶ原は北国街道、伊勢街道、中山道の3街道の交差点であり、分岐点であるため、という説明だったが、本書の結果を見ると、関ヶ原「天下分け目」説にも疑問が・・・。
ツボに入ったのは「灯油を入れるポリタンクの色は赤か、青か?」という質問の結果。
これまた東西で分かれるのだが(北海道は混在地帯)、なぜか糸静線付近。
食べ物の分岐なら、理由が分からないでもなさそうだが・・・。
テレビや新聞で「一億総○○」と表現される時がある。(最近、見かけない感じもするが)
本書を読むと、そんな表現が如何に乱暴なまとめ方か、という事がよく分かる。
食べ物一つ取り上げても、様々な違いがある人々を十把一絡げにしてしまっているのだから・・・。
こういう地域毎の違いは、なくならないで欲しい、と思う。
商売上の古いお得意先の分布が、そのままポリタンクの色の分布になったのでしょうか・・・。
この本、続編もあるので、そちらで、さらに踏み込むのか、気になってきました。
>チェリなの★さん
戦国時代、江戸時代の境界線で、風習など、いろいろ分かれることが多いようですね。
投票結果は、県単位で集計されてましたが、もっと細かい単位で集計されていたら、もっと面白い事が分かりそうです。
日本一面積がある県なので
実は 南北で 争っている歴史もあったりして
文化が違ってたりします・・・
北海道は歴史が浅いので、東西両地域からの移住者が伝えたのかも。
ならば色の違いの起源は、古いはず~。
おそらく、ポリタンク製造会社の商圏(ナワバリ)と関連あるのでは?
雰囲気だけでなごやかに話しているように見える例がある、
というのを聞いた事があります。
それに似たようなものだったのかもしれません。
知人の旦那様がスペイン語を母国語とする人なのですが、
イタリア旅行に行った際、地元のタクシー運転手と普通に会話が成立したそうな・・・
はたして、青森県と鹿児島県のおばあちゃん同士で、意思疎通できるのか興味があります^^;
天ぷらにソースという発想はなかったですね@@;
出てきたポリタンクの色の違いが分かれるのがナゾですね。(笑)
昔から領国の境界線だった所が多いからね~。
そのため人の往来が制限されたことが原因かも・・(カトリーヌ説 (笑))
埼玉でも茨城県よりで有名だったお菓子が、東京都よりに実家のあるヨメには
あまり認識がなかったり、と違いがありました。
この本を読んで存在を初めて知った、というのも結構、少なくなかったです。
フォッサマグナ・・・で分かれてるというのも不思議ですね。
同じ青森県でも、南部と、津軽は方言も、食も全く違うんですよ!
確かに、地域の違いは無くならないで欲しいと私も思います。
灯油を入れるポリタンク、赤しか見た事が無かったので、青があるという事に驚きました。