Nicotto Town



カミングアウト

天ぷらにソースをかけますか?
 ニッポン食文化の境界線
  野瀬泰申
   新潮文庫


自分が常識だと思っていた事が、日本全国の常識ではなかったら?

日本テレビの「秘密のケンミンSHOW」を見ていると、そんな思いに陥る事が度々ある。
本書は、その「秘密のケンミンSHOW」に先駆ける事、4年ほど前に出版された「全日本「食の方言」地図」(日本経済新聞社)の文庫版。

質問内容は
・天ぷらにソースをかけますか?
・紅ショウガの天ぷらを食べますか?
・「ぜんざい」と「お汁粉」の呼び方、どっちが優勢?
・中華まんには何かつけますか?
・「肉まん」と呼びますか?「豚まん」ですか?
・メロンパン?それともサンライズ?
・「お肉」と言えば、何の肉?

などなど・・・

最後の章は、東海道を日本橋から三条大橋まで歩き、
青ネギと白ネギ、うなぎの背開きと腹開き、また蒸すか蒸さないかの分岐点、
「サンマーメン」「イルカ食」「名古屋式のモーニングセット」などの勢力範囲、

などを著者自身の足で確かめる旅の記録となっている。

質問内容への投票結果を都道府県単位に集計した地図が面白い。
東西できれいに分かれたり、ある一定の地域にだけ集中していたり、なぜか「飛び地」があったり、といろいろ。

その理由は、その地域ならではの「生活の知恵」や「必要に迫られた結果、生み出されたもの」だったりする。
なるほど、と思う理由だったり、昔から苦労していたのが偲ばれる理由だったり・・・。
ただし、理由がよく分からない、というケースもある。

以前、読んだ「全国アホ・バカ分布考」(松本修)では、人を罵倒する言葉「アホ」と「バカ」の境界線を探る事から始まった調査が柳田國男の「方言周圏論」を裏付ける論文にまでなっていた。
(その時の感想
 http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=863327&aid=44311238)

本書内の質問内容も、深く突き詰めていけば、何かスゴイ事実が判明しそうな感じがする。

特に、東西で分かれる場合、なぜかフォッサマグナ西縁の糸魚川静岡構造線(糸静線)付近で分かれるパターンが多い、というのが不思議。
(当然、ある線できれいに分かれるわけではなく、境界線付近は混交地帯があるが・・・)


昔、関ヶ原が、食べ物・文化などの「天下分け目」になっている事が多い、と聞いた事がある。
関ヶ原北国街道、伊勢街道、中山道の3街道の交差点であり、分岐点であるため、という説明だったが、本書の結果を見ると、関ヶ原「天下分け目」説にも疑問が・・・。


ツボに入ったのは「灯油を入れるポリタンクの色は赤か、青か?」という質問の結果。
これまた東西で分かれるのだが(北海道は混在地帯)、なぜか糸静線付近。
食べ物の分岐なら、理由が分からないでもなさそうだが・・・。


テレビや新聞で「一億総○○」と表現される時がある。(最近、見かけない感じもするが)
本書を読むと、そんな表現が如何に乱暴なまとめ方か、という事がよく分かる。
食べ物一つ取り上げても、様々な違いがある人々を十把一絡げにしてしまっているのだから・・・。


こういう地域毎の違いは、なくならないで欲しい、と思う。

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2013/11/23 11:34
>カトリーヌさん
商売上の古いお得意先の分布が、そのままポリタンクの色の分布になったのでしょうか・・・。
この本、続編もあるので、そちらで、さらに踏み込むのか、気になってきました。

>チェリなの★さん
戦国時代、江戸時代の境界線で、風習など、いろいろ分かれることが多いようですね。
投票結果は、県単位で集計されてましたが、もっと細かい単位で集計されていたら、もっと面白い事が分かりそうです。
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2013/11/20 23:00
県内でも方言分布があるんですよ・・・
日本一面積がある県なので
実は 南北で 争っている歴史もあったりして
文化が違ってたりします・・・
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2013/11/20 02:18
ポリタンクの色・・、北海道が混合地帯というのが、鍵になりそ~。
北海道は歴史が浅いので、東西両地域からの移住者が伝えたのかも。
ならば色の違いの起源は、古いはず~。
おそらく、ポリタンク製造会社の商圏(ナワバリ)と関連あるのでは?


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2013/11/19 22:41
痴呆症の老人同士の会話で、全く話がかみ合っていないのに、
雰囲気だけでなごやかに話しているように見える例がある、
というのを聞いた事があります。

それに似たようなものだったのかもしれません。
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2013/11/17 22:37
日本は農耕文化ですから、土着率が高いのも地域性が強くなる理由でしょうね~

知人の旦那様がスペイン語を母国語とする人なのですが、
イタリア旅行に行った際、地元のタクシー運転手と普通に会話が成立したそうな・・・
はたして、青森県と鹿児島県のおばあちゃん同士で、意思疎通できるのか興味があります^^;

天ぷらにソースという発想はなかったですね@@;
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2013/11/17 21:15
文化や昔ながらの食べ物ならば分かりますが、交通機関が発達してから
出てきたポリタンクの色の違いが分かれるのがナゾですね。(笑)
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2013/11/17 20:35
フォッサマグナ西側は、急峻な山と山に囲まれた渓谷が形成され、
昔から領国の境界線だった所が多いからね~。
そのため人の往来が制限されたことが原因かも・・(カトリーヌ説 (笑))


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2013/11/16 21:09
集計単位が市町村やもっと細かい単位にしたら、もっといろいろ分かりそうですね。

埼玉でも茨城県よりで有名だったお菓子が、東京都よりに実家のあるヨメには
あまり認識がなかったり、と違いがありました。

この本を読んで存在を初めて知った、というのも結構、少なくなかったです。

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2013/11/16 20:55
面白いですね!
フォッサマグナ・・・で分かれてるというのも不思議ですね。
同じ青森県でも、南部と、津軽は方言も、食も全く違うんですよ!
確かに、地域の違いは無くならないで欲しいと私も思います。

灯油を入れるポリタンク、赤しか見た事が無かったので、青があるという事に驚きました。




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