Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


海へ きれいはきたない


きのう、また横須賀のほうへいった。
男が仕事で用事があるというので、ついていったのだ。
たぶん、男の仕事がらみでは最後だ。
わたしだけ、観音崎へ。
やはり猿島より、海が澄んでみえた。
たいして離れていないのに。
あるいは同じぐらいなのだろうか。
猿島は東京湾にしては、おどろくほど水がきれいだ。
そうしたことばを先にしっていたから
猿島はきれいな海、水をたたえていなくては
ならなかった。
わたしにとっては。
その違いではなかったか。
海はみにいくだけでなく、波音をきき、あたりをあるき、
潮の匂いをかいで、かんじるものなのだなと思った。
観音崎は、すこししか散策できなかった。
が、海岸や砂浜が感じられてよかった。
とんび、それともしかして千鳥とかかもしれない鳥。
レストハウスの裏の室外機の上で、
なつこい猫が寝ていた。
大きな猫だ。
ふとっているとかではなく、
全体的におおきい、人間でいうと2メートルぐらいの身長といった感じ。
赤白斑の、日本的な猫なのだけれど。

横須賀港のほうへもどる。このあたりはやはり海があまりきれいではない。
ヴェルニー公園のベンチにすわって本をよむ。
そのうち、日が暮れ始めてきて、すこし寒くなってきたので
ヴェルニー記念館へいったあと、ショッピングプラザというのか
ヴェルニー公園の端にある、複合施設をめざす。
軍港クルーズはこのあたりから出ている。
店をみたり、本屋にはいって、時間をつぶしているうち、
海の近くにいることが不思議におもえてくる。
海はわたしにとって非現実だが、こうして店にいることは
どちらかというと現実だから。
男から電話があり、またヴェルニー公園のほうへもどることにする。
あたりはすっかり夜だ。
びっくりしたのは、海がきれいだったこと。
正確にいえば、夜景がなかなかだったこと。
船や公園の灯りが海ににじんでいる。
夜になってしまうと、海はみえなくなってしまうから
と期待していなかったのだが、忘れていた、夜景があったのだ、
つつみこんで、海のにごった水をかくしてしまう夜が。
それはにごってゴミが浮いている昼間の海ではなかった。
灯りがにじんだ、波だけがみえる、きれいな世界だった。
海がみえなくなってしまう…、景色としてたのしめなくなる
という夜の海は、もっと本来の姿がうつくしい場所のことだ。
灯りもほとんどない、風光明媚な、きたなさが昼間にないところだ。
海辺の温泉宿にとまって、窓から眺める景色、
それが夜になるとほとんど何もなくなってしまう場所。
うっすらと波がわかる程度の、そうした場所のことだ。
たぶん、夜は星はきれいだろうけれど。
どちらかを選べばどちらかが選ばれない。
夜景がきれいだと、昼景はごちゃごちゃして
あまりうつくしくない、あの都会の景色を思い出す。




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