『かぐや姫の物語』を見てきました。
- カテゴリ:映画
- 2013/11/23 17:29:18
ネタバレしてます。御注意のほど。
公開初日に
高畑勲監督の『かぐや姫の物語』を見てきました。
今年は、アニメ作品の当たり年。
『風立ちぬ』もよかったですが、
しかし、『風立ちぬ』は、アニメ史の劃期となる作品ではありません。
この『かぐや姫の物語』は、アニメの新たな可能性を開いたように思います。
ともかく絵が美しい。
水彩画のような美しい風景があるかと思えば、
素描デッサンの荒々しさとデフォルメ、モノクロの色調による
激しい感情の描写がある。
しかも、単に絵が美しいだけでなく、
動く絵であるアニメだからこそ、
しぐさの描写を丹念に描けるのだという可能性…
…ではなく、実績を示したと言えます。
寝返りを打ち、這い回り、よっこらしょと立ちあがる
幼児の動きを、アニメはここまで描くことができるようになりました。
それは観察としての絵、しかも動き回る絵としてのアニメだからこそ
可能な描写です。
他方で、戯画としての絵、
風刺絵としてのマンガの精神もしっかりと残していて、
『平成狸合戦ぽんぽこ』では百鬼夜行図が登場しましたが、
今回、かぐや姫を迎えに現れるのは… ヒ・ミ・ツ ☆\(ーーメ)
(極楽浄土とは、きっとこのような歌舞音曲の流れる
愉楽歓喜な世界なのでございましょう)。
野山と人の愛の間で、
伸び伸びと育った姫が、
都の、「貴族」とか言う汚らわしい世界へと押し込められるのですが、
ある時、野に出で、
自らの鬱屈から逃れ、
幼なじみと宙を舞い、
まっすぐに落下し、
解き放たれる。
解放とは心のあり様なのであって、
この世の至高の幸福を受けることでも、
革命や政権交代や制度変革といった外形でもない。
平安貴族も平成貴族も、所詮は虚栄。
にもかかわらず、市井の民が生きていくには虚栄の秩序が必要らしく…
だから、かぐや姫よ、
やはり、もうお帰りなさい。
今が潮時。
この世がどれほど美しくても、
人の世は常に愚かでしょうから…
サントラ盤、すでに買ってしまいました。
ネタバレしますが、
阿弥陀来迎図が元ネタですから、
菩薩や羅漢、天女などもお迎えに伺う側なのではないでしょうか…
ですから、かぐや姫は、
この世に生を受けながら、
あの世での往生を約束された念仏衆であり、
しかも極楽往生を訳されているにも関わらず
この世に未練を持つ煩悩具足の凡夫と…
親鸞でしたら、そう言いそうです。
私も観てきました^^ まずサントラ盤は買いですw もう1度映画館でみたいと思いました
姫は 仏教的な階層の 菩薩様クラスの存在なのかなぁと・・・
きっと 原画の色彩はもっと繊細なんでしょうね。いつかジブリ美術館で原画展開催してほしいです~