Nicotto Town


すずき はなこ


冬の夜のお話し。

さあ、今日はちょっと、悲しくて苦しい話しをしましょう。

昨晩、もう仕事を終えようかという時刻になって、
2年ぶりくらいかな、
鈴ちゃんの知り合いがお見えになりました。
アポもなかったし、
暗がりの時刻だったので、
これはあまり良くない話しかなと思いながらも、
コーヒーを入れて、お話しに入りました。

仮にAさんとしましょう。
いい方です。
人当たりの良い、好感の持てるタイプです。
昨年、離婚が成立しました。
子供さんたちに、養育費を突き当り10万円払っておられるそうです。
お仕事も立派にされているので、
養育費を払わなければいけないとしても、
人並みには暮らしていけないことはありません。

Aさんには、彼女がいます。
またB子さんとします。

B子さんも、これまた絵にかいたような美人で、
それでいて、取澄ましたような方ではなく、
堅実でしっかりした方です。

わたしが、お二人を知っているのは、
これだけですが・・・
じつは、
Aさんの離婚原因になったのが、B子さんで、
お二人は不倫関係にあったそうです。

昨日、Aさんが訪ねて来られたのは、
正式に離婚したこと、
B子さんと、まだ付き合ってはいるが、
経済的に再婚はできそうにないこと。
ネコを、飼いだしたこと・・・。

離婚された元奥さんとは、わたしはお会いしたことはありません。

ここからは、すべてわたしの想像ですが、
不倫関係の清算で、離婚になったことは、
元奥様の精神的苦痛を考えると、
Aさんも、B子さんも許されることではありません。

どんなに、いい方たちであったとしてもです。

でも、昨晩、遅くに現れたAさんを見ていると、
なんとか、B子さんと、ささやかに生きていくことはできないものだろうかと、
哀しい気持ちになってしまうのです。
なぜでしょうか。

わたしたちは、みんな、間違いを犯してしまうのです。
アタマでは、分かっていても、
こころが、自分に都合のいい言い訳をして、
間違った道を選んでしまうことも、あるのです。

だからといって、誰かが泣いているのを仕方がないとは言えませんが。

こんなに苦しい気持ちを持って、
2匹の捨て猫を拾ってきて、飼っているAさんが、
わたしは、どうにも哀しくて苦しくて、
「もう、どうか、許してもらって・・・」
幸せになることは、できないのでしょうか。

ふと。
わたしの、前の夫のことを思い出します。
30歳ほど年の若い女の子と、浮気をし、
糟糠の妻は、あっさり堂より下されました。
元夫は、さっさとその女の子と再婚し・・・
後はどうなったか、全然知りませんが、

前の夫のあなた。
どうか、幸せになってくださいね。
あなたが浮気をして離婚してくれたおかげで、
今、わたしは鈴ちゃんと幸せになれました。

嫌味で言ってるんじゃないんです。
ほんとに。
ほんとに、わたしは、今、幸せになりましたから。
もう、なんにも怒ってないの。

・・・
Aさんの、前の奥さんも、
この気持ち、いつか、同じように感じる日がきて・・・。
もう、みんな、
みんな幸せになりましょうよ。

なんだか、そんなことを考えてしまって、
どうにも、悲しくも、苦しくもなるのです。




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