冬の海岸線
- カテゴリ:小説/詩
- 2014/01/10 12:07:24
北風に髪を流して
思い出を飛ばしていく
二人過ごした日々のこと
風が運んで行く
暮れかかる海岸線を
ドライブすると
そこには恋人たちが
寒さの中でまどろんでいる
そんな二人があった
肩寄せ合いながら
寒さも感じることなく
ぬくもりだけを感じていた
あなたがいなくても
こうして私は立っている
堂々とは言えないけれど
風の中を立っている
寒さに震えながら
車に戻ると
あなたのシートのことを
思いださずにはいられない
今頃どこにいるだろうか
新しい恋を見つけただろうか
もう忘れたはずなのに
蜃気楼のように浮かび上がる
さざ波の音に耳を傾けながら
これからの日々を思う
恋と言う名の出合いがあることが
何時か訪れるだろうか
やがて車は
静かに出ていく
さよならも言わずに
別れた二人だけれど
いつか薬指から
リングを外して
海に投げよう
明日に歩いていくために