雪の博士、研究日記
- カテゴリ:日記
- 2014/02/15 22:26:45
中谷宇吉郎 紀行集
アラスカの氷河
渡辺興亜 編
岩波文庫
「雪は天から送られた手紙である」という言葉で有名な、雪の博士こと中谷宇吉郎。
その中谷博士がアメリカ、ハワイ、満州、アラスカなどを訪れた際の様子を記したもの。
今まで自分の中で、中谷博士は人工雪の研究では世界的に名が知られているものの、研究活動自体は日本国内でのみ行っていたとばかり思っていた。
が、本書の中での博士は世界を飛び回って、研究を行う颯爽とした姿を見せてくれる。
考えてみれば、最初のイメージは根拠なしである上、研究が世界的に知られているのであれば、あちこちから声がかかるので、世界各地を飛び回る事になるのは当然ではある。
本書は研究結果の報告や、研究過程の考え方などを述べたものでなく、日記なため、内容的に難しいものは少ない。
招待されてアメリカを訪れた時、講演のオマケで日本文化について述べる、と約束した事が、オマケの方が主題のように報道され、冷や汗をかいた話
があるかと思えば、
満州を訪問した時は、日本の満州開拓のあまりもの準備不足ぶりを批判したりなど、内容は幅広い。
読んでいて、博士が一番、楽しそうに描いているのは、やはり研究をしている時の様子。
その時の様子が目に映るようだった。
印象的だったのは、「地球温暖化」という言葉がない頃から、その事について、うすうす気が付いているフシがあった、という点。
雪の博士の面目躍如、といったところだろうか。
ただ「温暖化」については、未だに大した対応策を考えつけない自分達、「温暖化」自体を認めていない人々などを中谷博士が見たら、何と言うだろう・・・。