日本妖刀列伝:壱
- カテゴリ:レシピ
- 2014/02/26 02:29:10
古来、侍の魂と言われた日本刀。
それにまつわる逸話・伝承は実に多岐多様に渡っています。
比較的信憑性の高いものもあれば
どう考えてもありえないだろ!という完全に怪談と化したものまで
そんな中でも名前のセンスだけは群を抜いている
『八丁念仏団子刺し』の物語を今回は語ろう。
時は戦国
どのようなルートで鉄砲を手に入れたのか未だ謎の雑賀衆。
その頭領である孫市はその日浮かれていた。
傭兵の代金として渡された一振りの刀
備前一門による業物となるとその価値はかなりのもの
彼はニンマリしながら辻を歩いていた。
すると前方から念仏を唱えながら坊主が歩いてきた。
今まで気を良くしていた孫市の顔色が変わった。
「俺の気分に水を指しやがって、縁起が悪い」
孫市は試し斬りも兼ねて、この坊主を辻斬りすることにした。
無言で坊主の目の前に立つと脳天目掛け一閃。
ところがここで奇妙なことが起こる。
手応えは確かにあった。
それなのに斬った筈の坊主は、倒れるでもなく血を噴出すでもなく
まるで何もなかったかのように念仏を唱えながら歩いていくではないか。
「ほわっ?」
まるで狐につままれたような孫市は、
音を立てぬよう刀を杖のように地面に突き刺しながら慎重に坊主の後を追う。
「これは奇妙だ。あの坊主、物の怪の類か?」
そうして後を付いていく事、八丁(約900m)
坊主は脳天から真っ二つになって息絶えた。
「はわっ??」
何がなんだかわからない孫市は、とりあえず杖にしていた刀を鞘に収めようとした
が重い…。
よくよく見てみると路傍の石が数珠繋ぎに刀に刺さっていてまるで団子のようだった。
孫市はここに来て全てを理解した。
これは両方とも常軌を逸した恐るべき切れ味がなせるわざだと…。
「名前が居るな 名刀に相応しい名が」
孫市は、この2つの事象を合わせてこの刀を
『八丁念仏団子刺し』と名づけたのだった。
荒唐無稽な逸話ではありますが
もし仮にこれが事実であるとすればとんでもない切れ味です。
そして半身切られて泳いでる魚とかテレビで見る都度。
八丁念仏団子刺しありえるかも!!とか思ってしまいます。
この妖刀、割と最近まで現存していてまたびっくり
水戸家が所蔵していたが、関東大震災で焼失してしまったと言う。
かくして八丁念仏団子刺しは、逸話と共に伝説の一振りになったのでした。
↓忍者漫画で持つと野菜を切りたくなる刀ならあったかも。