桜期
- カテゴリ:小説/詩
- 2014/03/25 04:43:12
夜桜がきれいだっていうけど
本当の夜桜は
暗闇に包まれて
その姿を見せない
でもそんな桜を求めて
夜中の公園に出かけてみる
花の盛りはまだだけど
咲いた花は見えはしない
観光客に交じって
一人歩く桜のトンネル
孤独に包まれて
こんなふうじゃなかったのに
あなたと歩いたあの日々は
桜の霞の中
つかみ取りたいけど
手が届かない
はらはらと花びらが舞う
川面に浮く花びらは
流れに任せて
それもまた美しい
行ってしまったあなた
どこでこの桜を見ているの
もう知る由もないけど
今でも胸が痛む
一人ぼっちで歩くのは
もう慣れたけど
ぽっかり空いた右側が
不思議と寂しい
もうj聞けない声
もうつなげない手
もう触れない肩
もう捨てなきゃならない想い
はらはらと舞う桜のように
心に涙がつたう
でももう泣かない
愛は本当だったんだもの