繰り返し
- カテゴリ:日記
- 2014/03/30 17:30:39
震災画報
宮武外骨
ちくま学芸文庫
震災関連本を読む、という個人キャンペーン第3弾。
ただし、今回は震災は震災でも、「関東大震災」
ジャーナリスト宮武外骨による被災した市井の人々の様子を伝える雑誌。
関東大震災が起きたのが、1923年(大正12年)9月1日。
そして、震災画報の第一冊が発行されたのが、9月25日。
以降、
第二冊:10月10日
第三冊:11月5日
第四冊:12月25日
第五冊:1月15日
第六冊:1月25日
に発行されている。
ところどころ、政府機関の復興に対する遅れを叩きつつも、大部分は被災した一般の人々の様子を伝える記事。
(特に変わった話を集めているそうだが)
予想通りではあるが、関東大震災の後に起きた事と、東日本大震災後に起きた事とでは、あまり大差ない。
混乱、デマ、便乗詐欺・・・。
悪名高い「朝鮮人暴動」のデマのような話がなかっただけ、よしとするしかないのか・・・。
ちなみに「朝鮮人暴動」については、本書にも何度も登場する。
自警団が誰何しても答えない者は朝鮮人、
姓名がそれっぽければ朝鮮人、
訛りがあれば朝鮮人、
顔つきがそれっぽければ朝鮮人、
挙句の果ては、手にビール瓶か箱を持っていたら、毒薬か爆薬を持っているだろうと因縁をつけていたそうだ。
しかもこのデマの広がりに一役買ったのは「公的機関」だったらしい。
平時に非常時の事を非難してもはじまらない、とは分かっているが、デマの恐ろしさが垣間見える。
なお、著者は震災画報第六冊で、朝鮮人を殺傷した自警団の人々は捕まえても、自警団の人々を誤らせた自分達の「罪」にはだまっている、という事を「官僚軍閥の大失態」と厳しく糾弾している。
ところで、一番、印象に残ったのは「解説」の部分にあった、次の一文。
"よく「災害は忘れた頃にやってくる」と言われるが、
災害の体験を語る人がいなくなった時が、
まさに「忘れた頃」という意味だ。"(要約)
(脱線だが「災害」を「戦争」に置き換えても、この言葉、そのまま使える)
東日本大震災の記憶もすでに風化が始まっている、というのが実態だが、「忘れた頃」に、また泡を食う事になるのだろうか・・・。
コンピュータ等の電子媒体だと、使い方から入らなければならないのがネックですね。
そういう意味で「津波てんでんこ」は、知恵の結晶だと思います。
(こういう言葉が生まれないのが、一番いいのですが・・・)
>まさひろ☆*さん
緊急地震速報が出ても、どうすべきか、と固まってしまうのが常ですね。
何かとっさにできるような事を決めておけば、数秒あれば、なんとかなりそうなのですが・・・。
この辺りこそ、訓練や啓蒙をしておくべきなのでしょう。
「震災画報」は、良い話というか、庶民のたくましさを伝える話が多かったです。
その反動か、政府機関の動きの鈍さを糾弾する記事も多かったですが・・・。
「愚者は経験に学び。賢者は歴史に学ぶ。」と言った人がいましたが、正にその通りですね。
自分は経験に学んでしまいましたが、東日本大震災を知らない世代には歴史に学んで欲しいです。
息子たちの学校でも東日本大震災のあったその日防災訓練をしたそうですが、子供たちは授業がなくなってやったーとばかりに遊び半分だったようです。防災訓練の意味がない状態ですね。地震の瞬間にどうすべきか教えるのも必要ですが、その後どう行動したらいいのかも教える必要があるなーと思いました。(学校では無理そうなので家で教えます!)
うちには犬が1匹いますが、その子は東日本大震災で亡くなった友人のところから連れて帰った大切な家族です。その子がうちの家族としている意味を子供たちはよくわかっているので、ほかの人よりも災害に対しての意識は高いんじゃないかと思っています。震災の記憶を風化させないようにしていきたいですね。
災害の後の人々の心の動きに昔も今も変わりなかったんですね。デマなど悪い方向に向かうのも人の心が作り出したもの、Tuckerさんが読まれた本には良かったことなども載っていたのでしょうか?一度俺も読んでみようかと思いました。昔と違い日常生活が電化製品や便利なものにかなり依存している現代では昔と違う混乱もあるので昔に学ぶということも必要ですね。
緊急地震速報というのもありますが、速報から地震到達までの短い時間にどれだけのことができるか疑問ですね。
心の準備だけでもということでまだないよりはという感じでしょうか?さらに最近のニュースでミサイルの発射なんて速報が行われると聞いたんですが、これこそどうすりゃいいの!?状態ですね(笑)
常に警告を出させる・・・
というようなシステムがあればいいかも。
コンピュータは破壊されない限り忘れないし、
「忘れたころにやって来る」という危惧は、無くなるわ・・?