お久しぶりです。ふぶきです。

昨日ダブルス・個人の大会に行ってきました。
試合も終わり、帰る準備をしているときに緊急連絡用に持たされた携帯が
鳴りだしました。画面に写ったのは兄ちゃんの名前でした。
なにかあったのかな、と思い電話に出たら


『お父さんが亡くなった』


あまりにも唐突だったので思考回路が停止し、なんて言っていいかわかりませんでしたが、とりあえず「そっか、わかったよ」とだけ言いました。

大会会場が自宅から結構遠めで、高速道路に乗って1時間半くらいのところだったので
移動中は気が気ではありませんでした。

家に帰るとまず留守番していたおじいちゃんのところへ行きました。
おじいちゃんは一人ぽつんと座敷に座っていて、ウチがおじいちゃん？と声をかけたら


「お父さんが帰ってくるぞ」


と静かに告げました。
辛かったのですが、ウチは笑いました。

「そっか、やっと辛い治療が終わったんだね。家でゆっくり休ませてあげよう」

と言いました。その言葉におじいちゃんもそうだな、と言ってくれました。
しばらくすると、大きなワゴン車と兄ちゃんの車が家の前に止まりました。
お母さん、兄ちゃん、業者の人が車から降りてワゴン車からお父さんをおろしていました。
真っ白な布に包まれたお父さんは人形のようでした。

お父さんが帰ってきてすぐに従兄妹が来ました。
お父さんが務めていた会社の社長さんも来てくれました。
近所の人も、来てくれました。まだまだこれからたくさんの人が、お父さんに会いに来ます。
お父さんはきっと、たくさんの人にあたたかく見送られることでしょう。


運ばれてきたお父さんの腕にはブレスレットがついていました。
このブレスレットはお母さんとウチが“早く病気が治るように”という意味を込めて、お父さんに送ったものです。
看護婦さんの配慮でいつも身につけさせていただきました。
点滴中や、治療中……結婚指輪とともにお父さんを見守っていました。

お父さんにあげたものはブレスレットだけではありません。
前に、自宅療養をしていたお父さんが「ふぶき、カピバラさんのぬいぐるみをいっぱい持ってるね。お父さんにも一個ちょうだいよ～＼(^o^)／」と言ってきました。
そのとき丁度、コンビニの一番くじで当てたぬいぐるみがあったのでそれをお父さんに
大切にしてね、と言って渡しました。お父さんはありがとう、と言って嬉しそうに受け取ってくれました。
そのカピバラさんのぬいぐるみはお父さんがいる所に離れることなくついていきました。
ICUや、一般病棟…
カピバラさんは部活でなかなか会いに行けないウチの代わりも果たしてくれました。
たくさんの役割を果たしてくれました。

今年の2月14日にお父さんに完成したパズルを送りました。
パズルはたくさんのお地蔵様と「絆　ありがとう　大切な大切な　あなた」というメッセージが書かれたものです。それも嬉しそうに受け取ってくれました。

今思えば、修学旅行のお土産をお父さんに渡せてません。
お父さんは読書家なので、ふくろうが描いてある栞を買ってきたのですが、渡す間もなく
いなくなってしまいましたね。

ウチに「さよなら」も「ありがとう」も言わせてくれませんでしたね。
近くにいた兄ちゃんやお母さんも気づかないくらい、自然に逝ってしまいましたね。

3年前の今頃は医者に「3ヶ月持てばいいほうだ」と余命宣告のようなものも
受けていました。ですが、お父さんは3年も生きました。
いつ死んでもおかしくない状況に何度も直面しましたが、お父さんは何度も頑張り
乗り越えてきました。
次も頑張って乗り越えるだろうと希望を持たせてくれました。

4月20日　午後3時25分
お父さんの3年間の癌との戦いは幕を閉じました。


…今まで高かったお父さんの体温は、今では氷のように冷たいです。
重くなったお父さんの瞼はもう上がることはない、声をかけても言葉を返してくれないのか、と改めて実感しました。


お父さん、たくさん頑張ってくれてありがとう。
3年も生きてくれてありがとう。少しでも長く一緒にいられて嬉しかったです。
お父さんの好きだったチョッパーのパーカーを今、着てるよ（笑）
いつか見に来てね。

今まで本当に本当にありがとう。