ドラマ【軍師官兵衛】
- カテゴリ:テレビ
- 2014/05/19 17:02:53
【感想】中川清秀ひどすぎるwww さて、まずはさらりと史実との差を書いておきましょう。右近の件は、実はもっと複雑でした。ドラマではキリスト教が迫害されることを危惧して織田方についたように描かれていましたが、それも勿論あったのですが、元々信長への思い入れが強かった右近が一番気にしていたのは、荒木に差し出した人質についてでした。オルガンティノが活躍したのも確かな話で、異国に来て布教のため命を差し出す覚悟をしていた彼らは、まさに殉教者ですね。荒木村重の寝返りは、今でこそ無謀に見えましたが、当時は摂津の国の諸大名がすべて織田に反旗を翻し、それに本願寺、播磨の三木と御着、その後ろには毛利と宇喜多がいたわけですから、勝算が全然ないわけではなかったようです。にしても中川がひどすぎるwww 村重に謀反を決意させておきながら、梯子を外すような真似をしたわけですからね。つまり、中川が織田を裏切ったのは、日和見だった可能性が高いわけです。小国が戦国時代を生き延びるための世の常だとしても、ドラマ見ながら、「こいつサイテー」とかつい口に出して言っちゃいましたよ。さて、ドラマでは政職が村重に官兵衛の暗殺を頼んだが、村重は官兵衛を味方にしたくて、殺したと嘯き官兵衛を幽閉していた、ということになっています。実際何故村重が官兵衛を幽閉したかは、よくわかっていないと思うのですが、村重が同盟している政職に遠慮して、政職の家臣だった官兵衛を生かしておいたという、ある意味まったくの逆説があるようです。当初、村重は確かに官兵衛を味方にしたいと考えていたかもしれません。播磨で軍師としての名を挙げた官兵衛を味方につければ、味方の士気も上がるし、敵への牽制にもなるし、黒田家を味方につけることができるかもしれません。しかし、それにしては彼への処遇があまりに酷すぎるんですよね。牢に閉じ込められ食料は土まみれの握り飯のみ、牢番には棒でつつかれ…。軍師として迎え入れるなら、もっと丁重に扱ってもよかったと思います。どちらというと村重は、官兵衛を味方につける気などなく、とりあえず生かしておいて、事が治まってから処遇を考えればいいや程度に思っていたんじゃないかと。頑なに凝り固まっている村重に対しずっと、毛利に勝ち目はない、織田でなければ新しい世を築けないと、ワンパターンの説得を繰り返す官兵衛は、とても希代の軍師には見えませんでしたしね。途中、官兵衛がだしの手引きにより脱獄を試みるも、失敗に終わり土牢に閉じ込められることになってしまった…というのはまぁ創作なんでしょうけど、恐らく最後の官兵衛自身によるアクションシーンだったんでしょうね。見張りを1人ずつ倒していく様子は、さながらSPでしたねw 壁を蹴ってターンするところも見応えがあり、もう岡田のこんなアクションシーンが見られることはないのかと思うと、ちょっともったいない気がしました。右近に裏切られ、清秀に裏切られ、官兵衛は誘いに応じない、そこへもって愛妻のにまで裏切られ、村重の心はもうズタボロだったでしょう…。あそこでだしに「ご成敗下さい」と引き下がられるよりも、噛み付かれた方が、まだ気が楽だったかもしれません。こいつ、自分を裏切ることになると分かっていて、殺されるのすら覚悟で官兵衛を助けようとしたのか…と、自分と妻の心の距離を思い知らされたのでしょう。戦う前にすべてを失ってしまった男の虚しさが、とてもよく伝わってきて、つい涙ぐんでしまいました。うん、今回はなかなか面白かったです。次回は松寿メインですね。これも楽しみです。