地上の波season2 ⑥ 最終話
- カテゴリ:自作小説
- 2014/05/27 17:34:17
八野が食事を終え、会話をしている時にはもう、店は午後の閉店時間になっていた。
日野が店頭の回転看板をしまい、扉に準備中の札を掲げた。
「そりゃ夜も始まるんでね、もう一人欲しいとは思っていたけれど・・・」
「そーか、じゃ会ってみてよ。実はもう呼んであるんだ。待っててよね。」
八野はそう言ってメールを一本打った。
そしてたばこに火をつけ、そのたばこを吸い終える前に、鳴るはずの無い店の扉のカウベルが鳴る事になる。
先に入って来たのは千尋だった。
「みなさぁ~ん、お待たせしました!はい、お連れしましたよ~どぉぞぉ~!」
千尋の後ろから店に入って来たのは、友子だった。
何ともやり場のない、発する言葉も見付からないと言った表情だった。
「はい、懐かしいでしょう?友子さんでぇす!皆さん笑顔でお迎えくださぁい!」
不必要に明るく振る舞った千尋は、その後の重苦しい雰囲気を察し、やっちまった感に総攻撃をされた。
何も言葉を発する事も無く下をむいたままの友子、口を真一文字にして友子を見る酒井、両者のはざまに戸惑いを隠せない日野。
やがて酒井が口を開く事になる。
「友子さん、すまないが・・・」
酒井が言い終える前に、千尋が口をはさんだ。
「あのねぇ、酒井さん!友子さんだって被害者なのよ。あの会社があんな辞令さえ出さなければ、友子さんだってあんな事はしなかったはずよ。だって、あんなに仲がよかったじゃないの。友子さん、とても反省していて、後悔もしていて、ここに来る事だってどんなに勇気が必要だったか!」
「千尋クン、だまりなさい。」
「だって、所長!所長だって言ってたじゃないですか!」
「千尋クン、黙るんだ!酒井さん、続けなよ。」
「あ、うん、友子さん、申し訳ないが・・・給料は時給になってしまうが、かまわないだろうか?そして社会保険も無いんだ。それでも・・・手伝ってくれるか?」
友子は驚いた表情のまま、初めて顔を上げ酒井を見た。
真っ赤な目には涙がにじんでいた。
「あたし・・・あたし・・・本当にごめんなさい。」
「なぁ、友子さん、あの証拠になったICレコーダーは、俺が強引に酒井さんに持って行かせたものだ。そしてその証拠の録音もね、最後まで使いたくないって言ってたのは酒井さんなんだ。俺のこんな小賢しい手段を超えた所で、酒井さんは友子さんの立場を想っていた。そんな酒井さんだからさ、友子さんを連れてきたら、絶対に雇うって俺は信じてた。だからこうして連れてきたんだ。」
「さっちん・・・あたしを許してくれるの?」
「何を言っている、メニュー構成で困っているんだ。君の力が必要だ。あの会社のような給料は払えんし、時間も長くなってしまうかも知れんが、力を貸してくれるか?」
「・・・はい。」
人を許す事は大変な事である。
何故なら、ここまでは許すがここから先は許せないと言ったら、それは始めから許していないのと同じ事だから。
八野は誰かから聞いたそんな言葉を思い出していた。
そして、人を許すと言う事は、同じように自分を相手に許す、いや、委ねる事では無いだろうか、と。
全てが元に戻る事は、残念ながらあり得る事では無い。
しかし、例え形は違っていても、それと同等の幸せが巡ってくればそれでいい。
友子と同じように、目を真っ赤に腫らす千尋を見て、八野はそう思ったのだった。
「八野さん、本当にどうもありがとう。」
帰り際に酒井が声を掛けた。
そして大き目の手提げの紙袋を、八野に手渡したのだった。
「八野さんさ、考えてみたら無報酬だったじゃないか。」
「いや、こんなのは俺の趣味だよ。なんて事はないさ。それより犬飼先生使っちゃったからさ、報酬取られちゃったし、悪かったなぁってね。俺への報酬はさ、何かトラブったら八野事務所にって事で、お客さんにも声を掛けてよ。」
「了解!ああ、先生にもお礼を言っておいてください。これね、喰ってください。」
「そう?何だろう?帰ったら開けてみるよ。じゃ、また来ます。」
八野と千尋は、その後事務所に帰り紙袋を開けてみた。
中には巨大なリブロースで作ったローストビーフ、手製のデミグラスソース、そしてボルドー産の赤ワインが一本入っていた。
「これで当分楽しめそうだな。千尋クン、これ半分持って帰れよ、父上と母上に食べて頂きなさい。」
「やったぁ!遠慮なくいただきまぁす!」
喜ぶ2人を前に、またご都合主義的な電話が鳴るのだった。
「はい、八野調査事務所・・・あら、杉原さん、いますよ、ちょっと待ってて~。所長!杉原さん。」
「いないって言え、いないって!」
「いるって言っちゃったもん。」
「チッたくもー。はい、もしもしっ!」
「ああ?八野ちゃぁ~ん?聞いたぜ、犬飼せんせーから。やったんだって?盗聴。」
「やってねーよ!あれはだな、依頼者のためになぁ・・・」
「ほら、同じだよ。依頼者のためになる録音は、ウチでもやってるんだ。だからさぁ、ウチにおいでよ。主任調査士って肩書でどうよ、ね?」
「俺が肩書で動くと思ってるのか!オマエん所の仕事はもうお断りだ、電話かけてくんな!ばーかばーか!ガチャン!」
実に大人気ない、盗聴調査士八野武蔵の苦悩は、これからも続く事になる。
地上の波season2 完
また、笑顔で魚釣りしましょうよ!
いらっしゃる時は言ってくださいね。
お待ちしておりますから^^
でも・・・
良かった^^
脱会されないで。
私も、こちらに失礼します。
昨日は感情むき出しになってしまい、すみませんでした。
そして、私のブログにコメをいただいたことに感謝しています。
招き猫さんが教えてくださったツール、私はどちらも利用していないんです^^;
とても残念です。
招き猫さんの個人情報なので、後で削除させていただいてもいいですか?
昨日書いた友だちのことですが、何年も一緒にニコタをやって来たので
私はこうしてニコタに来るのも辛くて、いっそのこと退会しようかとも考えています。
ただ、こうやって胸のうちを話せるお友だちとの縁が切れてしまうのは寂しいですが。
招き猫さんと、またのんびり釣りをしたいです。
私は土日の昼間だと時間を取りやすいです。
何だか支離滅裂ですが、とりあえず1週間、時間が過ぎるのを待ってみます。
気にかけていただいたこと、本当にいくら感謝しても足りません。
ありがとうございました。
礼などいいって、水臭いぞ。
そか、そうやって回していくんだな^^
そうでなきゃやってられんもんねぇ。
よーく考えるとアレだな、なめと息子だとかなりの年の差だな。
むむむ~~。。。
この間のお礼を忘れてました\(^o^)/ ありがとうwww
しんどいグループ活動はあと6回!\(^o^)/
キアヌの嫁になれるんだったら、やってやろうじゃないのヾ(`Д´*)ノ
\(^o^)/
そか、読んでくれたか^^
ま、所詮シロートだしな、こんなもんだ。
前作読まなきゃわからん部分もあるけどな。
でも、読んでくれてありがとうな!
また後で読みに来るじょ(=゚ω゚)ノ
ワシの言葉なんざ、大したものではないよ^^
問題はさ、この先なめちゃんがその想いを持ち続けながら
如何に満ち足りた人生を歩むか、だ。
本当はね、ワシはもう少しだけでも近くで、なめちゃんが歩んで行くのを見たい気がする。
だけどそれはおそらく叶わん事だからさ
せめてこのニコッとで見せておくれよ^^
猫さん、
ありがとう。
今はそれしか言えない…たくさんの思いを
ことばにしてくれたのに…
ごめんね。
うん、きっとね、ノー文句でなめの全てを理解してくれる
そんな母様だったんだと思う。
もっともっとしてもらいたかった事も、そしてしてあげたかった事も
あったろうにね><;
私がカミさんを失った時はね、そうだなぁ・・・
例えるならば、自分の身体の一部が無くなっちゃったようなね。
それがどこかは言い表せられないけど、そんな感じだろうか。
そっかぁ、従姉さんも・・・
医学的な説明はね、そんな事はどうでもいいんだよね。
問題はさ、それが何故、自分の一番大切な人の身に起きているか?なんだ。
例えばね、それが自分ではいけないのか?
代わってあげられるのならば、代りたかった。
私の時は本当にそう思ったんだ。
何故、妻なんだってね。
例えばね、死は全ての生物に必ず訪れる事じゃん。
群れを作るような、食物連鎖の底辺の生物は、同じ種別の犠牲の上に成り立ってる。
それはね、その犠牲が無ければ、それを食べて生きて行く生物が滅んでしまうから。
そして生き残った命だけが、次の生命のための種を残す事が出来る。
全ては自然の摂理の中で生きてるんだよね。
でも、人の様に複雑な思考を持ち、文明や文化を築いて生きてしまった生物は
きっとその複雑なゆえの想いが、魂や身体を超えた所に残っている気がするんだ。
「ごめんね」となめちゃんに聞こえたその声は、きっとお姉ちゃんのそんな想いだよ。
お姉ちゃんや母様の「想い」は、今もきっと残された物や、人や、場所や、風景や、空気になんかにね
きっと残っていると、私は思っています。
そりゃさ、なめちゃんもだよ!
受け入れる必要も無いし、くよくよしたっていいじゃないか。
そう言った悲しみを背負う事はさ、ある意味大きな財産だよ。
永遠になってしまった人を想う事の、何がいけないんだ!と私は思う。
最近ね、入っているサークルの人に言われた。
死んだ人の話をされても、何も答えようが無い、と。
その人は私のブログなど決して読んでいない人だったけど
多分、大切な人を失った私の気持ちはわからんだろうなって思った。
同時にね、わかってくれなくてもいいや、ともね。
そういった経験をしていない人にとっては、それが正論なんだろうからねぇ^^
だからね、財産なんだって思ったんだ。
うん…
母親が亡くなった時、「一番の味方がいなくなった」と思ったんだけど
最愛の奥さんのひまわりさんが亡くなった時って、どんな感覚だったの?(コメしなくてもいいですよ!)
昔(中学生のころ)、従妹の大好きなお姉ちゃんが悪性リンパ腫という病気になり、
ご両親も、彼女の旦那様も、これ以上ないってくらい手を尽くしたんだけど、亡くなってしまって…
「なぜ亡くなったのか?」
お医者様の科学的?医学的?な説明は、何の答えにもなっていませんでした。
私たちが知りたいのはそんなことじゃあない。
旦那様も、「なぜ救うことができなかったのか」と、物わかりの悪い人のようにお医者様に詰め寄っていました。
お葬式の時なめこは、お姉ちゃんに「なぜ死んじゃったの?」と何度も何度も問いかけていました。
頭の中に答えとなることばを探して…探して… でもどのことばも慰めにさえならず…
そんな思いで苦しくなってしまったときに、突然 『ごめんね』 とお姉ちゃんの声が耳に響いた。
なめこは
「なぜ?」と問いかけても答えはない、ということをお姉ちゃんに教えてもらったと思いました。
受け入れるしかない。
でも母親の死を、多分、私は本当には受け入れていないという気がする。
だけど、猫さんには、ひまわりさんを大切にしながらも、
リアの幸せを躊躇せずに求めて行ってほしいと思っています。
早産だったか、大丈夫だったか?って!オイオイ!
ちょっとネット回線で不具合があってね
2日もイン出来なかった。
その間来てくれてたら申し訳ない。
いつもでおいでよね。
話くらいは聞くからさ。
来月は一周忌だよね。。。
もう1年経っちゃったねぇ><;
ウチも命日だよ。
まぁさ、残されたワシらがさ、残された時間をせいぜい満ち足りたものにしようね。
それが一番の喜びだと思うしさ^^
「晴天の・・・」
おもしろそうだよね、あれ。
ワシも観たいじょ^^
ありがと。また改めて早産じゃなくって相談するね。
もう眠いし、遅いから、複雑な話はやめておこうっと\(^o^)/
明日は映画を見に行くんだ\(^o^)/
「晴天の霹靂」だよ\(^o^)/
来てくれてありがとねぇ~♪
その後、身体は良くなったかな?
ま、なめちゃんの事だから、きっとあっけらかんと
風邪なんか無かったような感じで来てくれると思ってたけどね^^
うん、話に登場させるメニューに関しては、色々と迷ったりしたんだ。
アメリケーヌソースに関しては、ちょっと前に流行したソースなんだ。
私の古い友達のフランス料理のお店でね、カミさんと食べたんだ。
このエビの味を閉じ込めたようなソースで、スズキの身をグラタンにした料理。
ひまわりさんはその美味しさに感激して、お皿のソースを一滴も残さず
まるで舐めるように食べていました。
私の料理の腕では、決して作る事の出来ないソースだったので
ちょっと悔しかったですねぇ^^
ま、プロと張り合うには、私の料理は家庭料理の域を超えていませんのでね。
致し方ない事だったんだけどね。
ま、そんな思い出のソースを物語に登場させてみました。
そんな凄い腕を持っている料理人の酒井氏でも、自分でメニュー構成すると
白身魚フライとチキンソテーの盛り合わせになっちゃう。
そこのギャップに気付いたなめちゃんは、大したもんだと思うよぉ~!
やはり食いしん坊なんだねぇ^^
そそ、想像は出来る結末なんだけどね、それまでのプロセスと人間模様を描きたかった。
そう思ってくださいよ。
このお話の様にね、全てを丸く収める事はやはり難しい。
それがベストだとわかっちゃいるんだけどね、やはり人間はそれぞれプライドもあれば欲もある。
それらを捨ててまで、ベストな形に持って行く事の意味を考えちゃうとね
やはり関わっている人全ての想いを、ぜ~んぶ考えなきゃならない。
失うものも少なくないんだよね、きっと。
なめちゃん、がんばれ!
直面しているハードルが高いほど
乗り越えた時に得られるものは、きっと価値のあるものだよ!
やっと来れました\(^o^)/
やっと辿り着けました\(^o^)/
そうなんですヽ(^o^)丿
不思議と「白身魚フライとチキンソテーのトマトソース」には
あまりトキメかなかった(コンマリさんより引用)んだよね
社員食堂のメニュはなんだったっけと、season2 ①までさかのぼり
「海鮮オムレツのアメリケーヌソース」\(^o^)/
そうそう! これは、コメントでもちと話題になったメニューだったよね
うーんさすが、猫さん プロですね
予想できる結末ではあったけど
すでに、酒井さんは友子さんのことを許していたらしい・・・・ いつ頃から?
おそらく、すべてを飲み込んだ上でみんなでHappyになろうよ、ということが
人間らしい振る舞いなのかも・・・・と思いました。
でも実際のところ総てを飲み込むってのは、ムツカシイよね
イガイガ、チクチク、ジャリジャリ、おまけに苦いと来た日には 喉を通りません(T_T)
一人じゃなく、関係者全員がおおむね飲めなきゃイカンしな(>_<)
今、まさに直面していまーす\(^o^)/
いや~文才があるかないかじゃなくてね、私と言う人物の文章を読みたいかどうかなのかもね。
こんな長くて重い文章よりも、アイテムがどうのとか、今日何があっただとか
本来の日記のような文章の方が、読んでいて楽しいと言う事だと思います。
仰るとおり、前半は一般的に知られていない分野の情報を書いて
なるほど・・・と思ってもらって持たせました。
物語的にはやはり後半に展開するようにしてみたんです。
主題的には、酒井という人物の人間的魅力に、百戦錬磨の八野自身も魅せられてしまう。
人間的弱さを見せてしまった友子に対して、2人の友情から友子を許すという展開ですね。
人間とは、許せずに怒るよりも、全てを飲み込んだ上で許すという選択をする方が
はるかに多くのエネルギーを使うと言う事を、私は書きたかったんすよ。
とまれ、夏さんと前のコメの魔女姐さんと、そしてもう一人いつも読んでくれる女の子
その3人様が読者になってくれそうです。
自己満足的小説に、最後までお付き合い頂き、本当にどうもありがとう^^v
なかなかどうして文才があるじゃないですか!
私には知らない事が多いジャンルなので
「ふむふむ なるほど!」って読ませていただきました^^
書き物は勢いとか瞬発力で一気に書かないと
ダレてしまいますよね~
短編でも書き上げたのは素晴らしい
しかもシリーズ物じゃないですか^^
これからもこの土台を生かした小説が楽しみですね^^
なぁに言ってるんすか、お互い昭和真っ只中じゃん^^
ええ~もう次回作の話っすかぁ・・・
つか、完全に燃え尽きてますぜ、ワシ。
連ドラの脚本書いてるヤツは、本当にエライと思いますわ。
よくもまぁ、あれだけ事件起こせるなぁと^^
ま、また何か下りて来ましたら書かせていただきます。
次は地上の波はお休みにして、ハートフルなヤツでも書こうかなぁ・・・。
いつになるかはわかりませぬが。。。
ラストが、昭和のドラマの香りだなぁ・・・
これからも続くってことは、次回作あるのね。
再放送無しで、次のシーズンが始まることを期待してます。