ベーコンエッグは魔性の食物
- カテゴリ:グルメ
- 2014/05/28 20:11:43
卵料理は数々あれど、ベーコンエッグは女王と信じて疑わぬ私。
完璧なるフォルム、赤黄白の絢爛たる輝き、気品溢るる香り……たまらない。
(ちなみに王様は松茸入り茶碗蒸し、王女様はチーズオムレツ、殿様が生卵かな。)
海外の小説でも、朝食の場面によく出てきます。
中でもジョン・ディクスン・カーの推理小説『死者はよみがえる』の冒頭部分は
我がベーコンエッグ愛に確信を与えてくれた名作です。
友人と賭けをして南アフリカからロンドンまでの無銭旅行に挑んだ主人公、
最後の最後で腹ペコ俺もうダメ、ホテルのレストランで無銭飲食をすることに。
その朝食がベーコンエッグ、もちろん卵は2つ、ベーコンはカリカリです。旨そう!
そうそう、学生時代の徹夜麻雀明け、ベーコンエッグの食べ方で大激論になりました。
埼玉出身の家主Fは、ベーコンエッグは洋食だから食塩で食べるのが正統だと主張、
大阪人のMが白身と付け合せのキャベツにウスターソースをかけたのを激しくなじる。
岩手人のMは黄身半熟、そこに穴をあけ醤油を垂らす以外ありえないと言い出し、
全面に醤油をかけてさっさと食おうとした私がなぜか叱られる。
Fと大阪Mは互いの人格の歪みにまで言及し、ついに掴み合いに。バカだコイツら。
ケチャップ時々マヨネーズ派のFの妹君に全員怒鳴られ、正座させられました。
ベーコンエッグはかくも人間を狂わせる魔性の食物なのです。
むむむ、素材の持つお味を楽しむと同時に塩分過剰摂取を避け、
更には洋食・和食それぞれのアイデンティティも尊重する『自然派・ヌーベルキュイジーヌ』ですね。
この場合のBGMはウインダムヒルレーベルかミニマル、または中南米系が宜しいかと。
おおお! いらっしゃいましたね、『分割統治』派。
黄身と白身の美味しさを十全に引き出し賞味する、食の達人好みの召し上がり方。
BGMはロングマイアーの『サニー・サイド・アップ』と推察いたします。
私はベーコンの塩気だけでいただく派です。
ハンバーグの添え物だったらハンバーグソースをつけます。
ご飯に乗せて丼物でいただくときは醤油ですね。
これがパーフェクトだと信じて疑いません
こういうバカが私の周囲には溢れております。類は友を呼ぶのです。
ありふれた食べ物で大騒ぎするバカの究極に、1970年代に起きた『全冷中』騒動というのがありました。
冷やし中華をネタに大の大人が数年間大騒ぎ、祭りまで開いたのです。
詳細は住宅新報社発行の『空飛ぶ冷やし中華』という古書や山下洋輔のエッセイで。
人間はここまでバカになれるという実例です。
お、それはF同様、洋食的見地に立った王道ですね。
ちなみに主食はトースト飲み物は紅茶、フォークとナイフで召し上がるのではないでしょうか。
ただ、そんなケンカはきいたことがない・・・