時を止めるメイドさんと、陰陽師
- カテゴリ:自作小説
- 2014/05/31 02:20:30
十六夜(いざよい)は幻影館の優秀なメイドだ。
服装もいつもキチッとしている。
ただ桃源郷の支配を企むヴァンパイア、レミリーのメイドをしている事を除けば・・・どこにでもいる優秀なメイドさんだ。
レミリーに血を吸われたせいか、髪は青白い輝きを放っている。眼球は黒色だが、時間を止める時だけ赤くなる。止めれる時間はほんの2、3秒。
ナイフを支配している。
無数のナイフを自在に操る事で主(あるじ)であるレミリーのお客を選別している。
と、資料にはある。
ボクの名前(仮)は神楽。
安倍晴明の孫らしい。
守護霊に晴明おじい様が憑いている事。
実はこの憑いている事が陰陽師は血筋であると、言わらしめる由縁でもある。
まあ、ここまで説明しなくてもボクは陰陽師って、わかってもらえるかな。
「何をぶつぶつ言っている・・・私のナイフを一度避けたからといっていい気にならない事だ、人間。私はレミリー様のメイド。私を理解してくださるのはレミリー様だけ」そう言って彼女、十六夜は無数のナイフをボクの前に放つ。十六夜のいる場所はちょうど階段の最上段、つまり二階。
ボクは一階の大広間。
高低差を利用して、時間を止めて二重三重とナイフを増やして行く。すっかりボクをナイフで囲み、時間を動かす。
ボクの幻影にナイフは次々と刺さって行く。
十六夜は勝ち誇る表情を見せる。
しかし、ボクの身体が符へ変換されるのを見て、再び時間を止める。
相手が止めた上で、止め返す。
符で彼女の足を縛る。
「馬鹿な・・・私の動きを封じるなんて」
「君は自分の力が特別みたいに思っていたかもしれないけど。この桃源郷では君みたいなのはいくらでもいるから・・・。時間の止め返しをされて、あっさりと動きを封じられる、戦いの騙し合いさえした事が無い君のような素人に支配されるほど、桃源郷は甘くないんだよ」
「レミリー様、すみません。足止めもできませんでした」
「・・・君を封じるよ。レミリーに怒鳴られたくないからね」
「貴様、魔王様を親しげに呼ぶな!」
「・・・ボクにも彼女がどういう人なのか分からないんだけど。レミリーはレヴァンティン(神に愛されしモノ)の後継者だろ」
「レヴァンティンは魔王たる証だ!赤き輝きは魔力の源ぞ」
「・・・魔力の源であり、命の源でもあるかな。残念だけどボクも後継者なんだ。レヴァンティンの」
「馬鹿な!!貴様は魔王なのか?人間では無いのか」
「最初に言ったろ?ボクは陰陽師さ。円陣完成。ごきげんよう、さようなら」
ポンっという音と共に金の符呪の中に封じる。
ボクは幻影館のさらに奥へ進む。
続く
「ごきげんよう、さようなら」
って封じるのが何だかツボに入ってしまいましたw
続きも楽しみにしてます^^
あい