怖いもの見たさ
- カテゴリ:日記
- 2014/06/01 11:25:49
恐怖の都・ロンドン
スティーブ・ジョーンズ
友成純一 訳
ちくま文庫
ヴィクトリア朝時代のロンドンで起きた幽霊事件、猟奇殺人事件の数々。
それらが図版を多数用いて、描かれる。
当時のタブロイド版のスクラップブックと言ってもいいかもしれない。
当然、それだけではないが・・・。
この時代のロンドンというと、すぐ思い出すのは「ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)」
本書でも一番長いページ数を割いて、紹介している。
が、写真が最もグロいのも、この章となる。
(他は当時のイラストだったり、蝋人形の写真だったりする)
当時の写真の精度の粗さと白黒写真というのが相まって、細部までよく分からないのが救い、と言えば救い。
昔、「切り裂きジャックの日記」なるものが発見されて、出版までされた事がある。
(その本を読んだ記憶もある)
が、客観的な証拠は、その日記そのものしかなく、しかも日記が見つかった経緯もはっきりせず、かなり眉唾モノだったが・・・。
「切り裂きジャック」の正体は、未だに謎。
当時の新聞が、全く別々の殺人事件を結びつけて、一人の人物が行ったかのように報道しただけなので、「切り裂きジャック」などいなかった、というものから、王族の内の一人、という説まである。
ちなみに「シャーロック・ホームズ」も同じ時代が舞台なので、「ホームズ vs. 切り裂きジャック」という二次創作の話もたくさんある。
コナン・ドイル自身は「ホームズ」のエピソードに、「切り裂きジャック」を思わせるような話は入れていない。
が、「切り裂きジャック」の正体の推理の輪には加わっている。
それによると「切り裂きジャック」は女装をしていた、だとか・・・。
(だから、女性に怪しまれず、近づけた、ということらしい。)
本書の中でも、その「候補者」が何人かが挙げられているが、紹介するのみにとどまっている。
おそらく、将来、正体が分かったら、その人物は全くノーマークの人だったりするのだろう。
また、これ以外では、イーストエンドの暮らしを紹介した部分が印象に残った。
これを見る限り、貧民層が集まっている地域とは言え、これが一国の首都なのだろうか、と思ってしまう。
これだけ、悲惨な生活をしていれば、凶悪殺人事件が多数、起きるのも無理ないだろう。
もし自分が、この中に放り込まれたら・・・生きていけるか自信が持てない。
新しいものが生み出された、と考えられそうですね。
いい方向なら、新しい「文化」が生まれ、悪い方向なら、「軋轢」で殺傷事件がおきる・・・。
でも殺傷事件でさえ、小説のネタになりうると、考えると・・・。
サスペンス小説や推理小説を生みだしたのかしら???
SFもこの時代に出て来たものだし・・・。