赤目で見つけてみせるから。Ⅳ(セトカノ)
- カテゴリ:自作小説
- 2014/06/18 21:25:20
*カノ*
ただ、ただひたすらに怖かった。
自分の考えていることを、自分のことを全て緑色の青年に見透かされているようで不安な気持ちになった。
そんな考えを頭のなかでぐるぐると回していると青年が僕に一枚の写真を見せてくれた。
「君の名前はカノ。
ここに映ってるっすよね?
で、俺がセト。
あとはみんな自身に聞けばいいっすよ」
そう言ってセトさんは微笑んだ。
その優しげな笑顔に僕の心は優しい感情に包まれた。
「分かりました!」
僕もなるべく笑顔に見えるようにニコッと笑ってみせた。
だけど、その笑顔が逆にセトさんを心配させてしまったみたいで、なんだか悪いことをした気になった。
「えと・・・・あ、あの・・・!!
僕ってどんな人だったんですか?」
僕は咄嗟にこの質問をセトさんに投げかけた。
*セト*
カノは記憶をなくしていた。
欺くことも俺らのことも、
そして、自分のことも、覚えてなかった。
その、寂しそうな、申し訳なさそうな笑顔をするカノをそばで見ているのは辛かった。
咄嗟にカノにされた質問。
それは、カノ、という人間はどんな人だったか。
どう答えたらいいのかわからない。
正直に言うか、嘘をつくか・・・。
数十秒悩んだ結果、真実を言おうと決意した。
「カノは、嘘つきで、だけど人を傷つけるような嘘は言わなくて、
俺たちにとっては赤いヒーローと同じくらいかっこよかったっすよ
えーっと・・・、キドとマリーは少し席を外してもらっていいっすか?」
キドとマリーは俺のしたいことが分かったのか部屋から立ち去った。
「カノ、俺はそんなカノのことがずっと好きなんすよ。」
言ってしまった。
俺は孤独の世界に連れ込まれるハメになるのか、という絶望感でいっぱいになっていた。
*カノ*
セトさんに好きだと伝えられた。
悪い気はしなかった。
はっきり言えば、この気持ちの正体は分からない。
だけど、僕は何となく気づいてしまったんだ。
『僕はこの人が好きだったんだ。』ということに。
時間は今日一日。
今のところ思い出せたのは僕がカノであったこと。
セトが好きだったということ。
あ、あざ・・・・ここから先が思い出せなくて苦しいんだ。
今日中に思い出せなかったらまたみんなとお別れなんだな・・・・。
あれ・・・?
僕、またって思った・・・?
前にも一度別れている・・・?
どうして・・・・?
思い出そうとするたび頭が痛くなる。
けれども、そんなことよりも知りたい。
僕がどんなひとだったのだろうか。
僕はどうしてみんなと離れ離れになってしまったのか。
知りたいことは色々あった。
だけど、カラダは素直だったらしく、頭痛に耐え切れずその場に倒れこんでしまった。
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しょっぼーww
いいんじゃないの?