Nicotto Town



好きな5話(怪談っぽいお話)

1、長月二十日のころ (徒然草 三十二段)

友人が宵に女性宅を訪れるのに同行し、明け方に辞去するだけの話。
しかし末尾にある「その人ほどなく失せにけりと聞き侍りし」という一節が効く。
現世に想いを残すとはこういうことなのかもしれない。

2、浅茅が宿 (雨月物語)

死後も霊となって夫の帰りを待ち続けた宮木。しんみり系怪談の代表でしょう。
この手の話は東洋にも西洋にもありますが、女房が夫に祟らないのは珍しい。
夫が死後も健気に妻を待つという話は記憶にないですねー。

3、セルノグラツ城の狼 (サキ)

苦いブラックユーモアの多いサキですが、この短編はシリアスな作風です。
旧家の最後の生き残りである老嬢が世を去る様を風情たっぷりに描く。
ヨーロッパの狼の遠吠えは、このように悲痛に響くのかもしれない。

4、聊斎志異

中国の怪異譚集。中でもスゴイのはこんな話です。
妻の器量に不満な男が、美人で有名な富豪の愛娘が亡くなったので、
墓場からその首を奪ってきて、寝ている妻の首とすげかえる。
翌朝妻は自分が美人になっててビックリ、噂を聞いて富豪も駆けつける。
娘の生まれ変わりだということで懇意になりメデタシメデタシ大団円。
中国四千年の歴史、おそるべし。突っ込みどころ満載の迷作です。

5、クリスマス・プレゼント (ウイリアム・テン)

往年のSFスリラー短編。内気な独身男の元に、人間製作キットが届く。
密かに思いを寄せる愛しの彼女を作ろうとするが、失敗したら大変だ。
とりあえず自分の複製を作って練習しよう。できた。すると……。
こうしたアイデアの初期の一作。現代だったらありそうな話で怖い。

有名な『猿の手』は怖くて寝られなかった記憶があるのでランク外。
どこか面白みや情緒の漂うタイプが好みです。

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2014/07/06 20:32
〉レン姫さん

健気タイプの怪奇譚は野郎好みでして、私もその傾向が強いのです。
北欧かスイスにこんな話があります。
氷河に落ちて命を失った彼女の姿をもう一度見るため、
氷河が次に地表から見える位置に来る時間を計算し、
男は何十年も待ち続け、遂に再会を果たしそこで息絶える。
誰の作かは知りませんが好きな話です。
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2014/07/06 20:21
〉もみじさん

中国のは大陸的明るさといいますかワハハハといいますか、
シュールな芸風の落語に通ずる話がたまにありますね。
寄席によく通われていらっしゃるのですよね。
『もう半分』は志ん生か小さんをラジオで聴いた記憶があります。
私の落語ベストは調子の良かった談志がじっくり演じた『居残り佐平次』です。
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2014/07/06 19:19
浅茅が宿、思い出しました!
妻の愛が健気に描かれていて、
雨月物語で唯一 ほのぼのしたお話でしたよね。
蛇性の婬は蛇に恋をした男の話です。
詳しくはブログにて。
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2014/07/06 18:27
ああ、ユースケさんが怖かった怪談話ではなかったのですね^^;
好きな怪談っぽいお話ね^^
中国のお話は強烈ですね@@;
知りませんでした!

最近怖かった怪談噺(落語)があるのです。
「もう半分」というのですがこれが話し手に寄っては猛烈に怖いのですよ><;
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2014/07/06 16:32
>レン姫さん

私は逆に浅茅が宿しか覚えていないのです。
説話系には似た設定の話が多いので、脳内が大混乱をきたしております。
蛇性の婬って……夢枕獏の陰陽師に似たような話があったような気が……自信ありません。
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2014/07/06 15:43
雨月物語は好きでしたが、浅茅が宿の話は読んだことないですね。
今度 読んでみましょうか。
じゃせいの淫が特に好きですね。
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2014/07/06 13:33
〉世沙明さん

私の持つ新潮文庫では死亡記事が文語体になってまして、これが味になってます。
庭の樹が裂けて倒れる、という一節も映像的で好きです。
『星の王子さま』の終盤、王子が倒れる挿絵とどこかオーバーラップするのです。
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2014/07/06 12:54
セルノグラツ城の狼。
先ほどチラリ読んでみました。
おどろおどろしくない表現が好きです。
死亡記事が一番人の心の変わり様を表してるようで。



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