「けいちゃん」捕獲大作戦。
- カテゴリ:人生
- 2014/07/29 19:26:35
山に、「けいちゃん」という野良犬がいます。
数年前に、イノシシの罠にかかり、前足が一本ありません。
その前足が、腐って落ちそうになっている頃から、
知っていますが、人が近づくと逃げるのでどうにもなりませんでした。
前足は、綺麗に断裂し、
今では、ひょこひょこ、遅いながらも元気に走り回っています。
道行く、車に哀れな前足を見せては、
車窓からけっこう贅沢なゴハンをせしめています。
なかなかの頭脳犯で、日陰を選んでは、悲しそうに横たわり、
減速した車に、哀愁を帯びた目線を投げかけるあたり、
キャバクラにでもいたら、指名ナンバーワン間違いなしでしょう。
「けいちゃん」は、わたしをよく知っています。
生半可なことでは、エサなどくれたりはしません。
それどころか、人間を噛んだ前歴もばれているので、
わたしに捕まったら、ロクなことはないのを察知しています。
だけど、
「けいちゃん」の本性を知らない人は、みごとに騙されるのです。
哀れな、可哀想な、不憫な、前足の無い野良犬が、
道路で,轢かれそうになっている…などと、
涙なしでは語れないようなストーリーになって、
なんと、今日、有名な動物愛護団体が、
「けいちゃん」捕獲大作戦を展開しています。
事前に、聞いてはいましたが、
「けいちゃん」にとっては、えらい迷惑な話しなんです。
捕獲作戦を聞いたのは、一昨日でしたが、
昨日、わたしは遠巻きに「けいちゃん』を見ながら、
聞いてみたのです、え、誰にって?けいちゃんにですよ。
「けいちゃん、あんたを捕まえに大勢の人が来るよ、
あんたは、どうしたいの?」
そしたら、「けいちゃん」は、顎ですくい上げるように、
北東の廃屋を指すのです。
子犬が、生まれているんだそうな。
「子犬が、子犬が」と(でもいうように)
顎を何回もしゃくっては、「あそこにいる」というのです。
だから、今、捕まるわけにはいかないのだと。
がんばって、捕まらないほうがいいのか、
捕まって、動物愛護団体に連れて行かれる方がいいのか・・・。
いま、山では大捕り物が繰り広げられています。
余談ですが、「けいちゃん」と名前を付けたのはわたしです。
今年、知らないうちに死んでいた母が、「けいちゃん」という名前でした。
右手がなく、身障者でしたが、
そんなことを構うでも無し、ひょこひょこ歩き回っていましたから、
あの犬に「けいちゃん」という名をつけました。
さて、明日になったら、
山から「けいちゃん」の姿は、なくなっているのでしょうか。
いてもよし、いなくても、またよしとして、
今晩は、休もうと思います。
もともと、犬の「けいちゃん」は、イノシシを追い込む猟犬だったようです。
でも、役に立たないか何かで、捨てられたのでしょうね。
子犬は、毎年生まれていましたが、
たまに良い子犬が産まれると、また猟師が来て、親犬から獲っていきます。
けいちゃんの旦那犬も、いずれ名のある猟犬の種類です。
紀州犬ではなく、どちらかというと四国犬です。
四国犬は、めったに市場に出ない希少種ですから、
いい猟犬が生まれると、目ざとい人は獲っていくんですよ。
そして、イノシシ猟のときに、犬も毎回大怪我をしますし、
中には、深追いして殺される犬もでます。
四国犬は、可愛いですよ。
生涯壱主人で、まるで人語を解するかのようです。
良い猟犬は、人を噛まないのです。
むやみやたらに、吠えたり噛んだりするのが、猟犬として失格になり、
殺すのにも忍びないので、捨てられるんだそうです。
イノシシも可哀想ですが、犬たちも可哀想でなりません。
犬語と、イノシシ語がわかって、皆で話し合えばこんな連鎖はなくなるのになあ。
でも、それができるなら、
さきに、イスラエルとパレスチナ問題の解決を望むのがさきなんでしょうね。
「けいちゃん」って鶏のことかと思いました(笑)
今晩のおかずにするのかと・・・?
なかなか、どっこい、一筋縄ではいかないヤツです。
それくらい、賢いということ。
にしても、けいちゃんと話せるなんてすごいなぁ。
それと、犬って名演技するねぇ。「どうした?!」と思わず駆けつけさせる不憫な演技にやられたことがありますわぁ。