彼が両手に握りしめたのは、血だけではなかった…
- カテゴリ:仕事
- 2014/08/09 07:46:58
たまに「漁師になりたい」という人が、相談に来られます。
そうですね、
陸から見た感じ、漁師ってヨサゲな仕事に見えますね。
晴れた日に、沖で、思う存分暴れまわって大漁で、
港に凱旋する頃には、なんかのお酒のCMみたいに、
ベッピンさんのお嫁ちゃんが、漁師鍋かなんかふるまっていそうですか。
とんでもありません。
今年、隣の漁港に、見ない顔がいると思ったら、
何と、漁業長に頼み込んで、新人「猟師見習い」で入った人でした。
へえ~、そんな人もあるんだあと、漁業長に聞いてみました。
もともと「乗合船」に足蹴く通ったお客さんでしたが、
「漁業」を一生の仕事にしたいと、
頼んで、頼んで、拝み倒して、どんな苦労も一人前になるまでは、
なにがあっても弱音は吐かないという約束で、「見習い」になりました。
そりゃあ、可哀想なくらい走り回っていましたよ。
船の上は、知りませんが、
陸に上がってからの仕事は、漁師は、それはそれはの重労働です。
船の掃除、修理,網の掃除,網の修繕、生簀の管理、翌日の仕掛け、
そのうえ、漁業組合の仕事、港湾の管理業務・・・
漁師でないわたしが知っているだけでも、陸で、この仕事量、
沖でどれだけの地獄が待っているかは、想像もできません。
しかも「漁業権」というのはものすごい高額です。
相続制ですから、親が漁師でなかったら、
その額を支払って買わなくてはなりません。
くわえて、小さな漁船が、ざっと1000万、
漁港の近くに家も必要ですから、
簡単に「漁師になる」といっても、数千万はかかるのです。
で、念願かなって沖に出れたとして・・・
「ポイント」(魚がいるところ)分かると思いますか?
昔から、サカナがいるポイントは、惣領口伝、
その家の長男しか、教えてもらえないものです。
魚探で、サカナの群れが見つけられると思っていたら、
エライ間違いでっせ~。
「乗合船」に乗って、
みんなで釣れるところに連れってってもらって、
釣れなかったら、お土産を貰って帰る方が、
「高いなあ~」といっててもよっぽど確実です。
それでも漁師になりたいですか?
で、その「新人猟師見習い」はどうしたかって?
わたしが彼を最後に見たのは、
彼が自転車に乗っていた時に転んでしまって、
両手のひらに大怪我をして、健康保険証はあるんだろうかと、
心配していたオバちゃんたちの井戸端会議の隙間でした。
それから3カ月ほどたったでしょうか。
ついこの間、彼のことを思い出したので、
またオバちゃんたちに聞いてみましたが、
「忽然と姿を消した」ということです。
「漁師になりたい」というお若い方がた、
就職希望先は、よくよく考えてから、お決めください。
一周年おめでとうございます。
マイペースに続けてます。
一年前を振り返ると今日まであっという間でした。
特に変化がない私ですが本が少しずつ増えてます。
はなこさんもお体に気を付けて充実した日々を送ってください。
これからもよろしくお願いします。
漁師という家業を継ぐ事は「特権」だったのですね。
漁師ってそんなに開業!?するのに大変なくろうがあるんですね。
費用対効果生半端な感覚では、回収できそうにない。
本当にがっつり稼ぐ命懸けでって覚悟ないと無理。
大間のマグロで稼げない漁師を見て歯がゆく感じてましたが、大体はこうなるという感じでしょうか。
漁獲量も減っているし、賃金も下がってるしかなり厳しい職種ですね・・・。
私は昔服屋の店員になりたくてなりたくて、ちょっと違いますが
バッグ屋に勤めました、その時に売る方法や売り文句を聞いて
どんどん嫌になって結局やめました。
第一次産業、かっこよさの裏にはいろいろあるのですね…
やっぱり混んでますかねー?
どんな職業にも舞台裏はあるものですね
自衛隊の夜間行軍くらいこなす人でないと無理ですね?
陸で怪我して海を捨てる・・・
一般人はお金を払って、ちょこっと体験させていただくのが無難ですね~
最後に、ケガをした彼と会ったとき、
何針か縫った後のその両手のひらは、痛々しいものでした。
これでは、網は曳けないなあと思いました。
彼の立場では、「労災」は無理でしょう。
休んでいる間の生活費なんて、誰も出してくれませんよ。
そのあと、彼が間借りしていた住居を教えてもらいましたが、
長い間、放ったらかしにされていた「廃屋」でした。
そりゃあ、こころは折れますって。
こういう漁師さんになる為の苦労話や
高額な漁業権の事をもっと世間の人達が
知ったら密漁者はは減るんじゃないですかね。
もちろん、密漁を生業としている犯罪者には
効果はないでしょうけど…
若者が 純粋に夢を持って「漁師になりたい」って気持ちがふみじられて行くのを目の当たりにするのは辛いですね(自転車でこけて大けがしたのが最後の姿なんて哀愁がありすぎじゃないですか!)
確かに・・どんな世界も厳しすぎるほど厳しいですよね
若者たちの道は希望へと続くって歌があるけど 現実は絶望の報が多い気がします
この男の子が めげることなく 血と一緒に握りしめたものが 次なる働き口への希望であってほしいです
第1次生産業は、はたで見ているより、いろいろ仕事が多いのですね・・・
まぁ~、何でもやってみないと解らないですけど・・・