Nicotto Town



過去と現在の物語

ドリームキャッチャー(1~4)
 スティーヴン・キング
  新潮文庫


メイン州デリーで生まれ育ったジョーンジー、ヘンリー、ピート、ビーヴの4人。
40歳近くになり、それぞれ問題を抱えていたが、毎年秋、4人で行く鹿狩りが、いいガス抜きになっていた。
そして、今年も鹿狩りに出かけるが、そこで奇妙な遭難者を助けた事で、恐ろしい事件に巻き込まれる事になる。


ドリームキャッチャー、というのはアメリカ先住民に伝わるお守り。
良い夢は通り抜けるが、悪い夢は、このお守りが絡めとってしまう、というもの。
これが物語の内容を暗示する。


ホラーで知られる著者だが、今回はSFサスペンスもの
SFサスペンス、というと「トミーノッカーズ」を連想するが、過去と現在の話が交互に語られるという点で、「IT」の方に近い。


ちなみに4人の生まれ育ったデリーという街は、キングの作品でたびたび登場する架空の街。
「IT」では、デリーが物語の舞台となる。


物語後半、デリーが舞台となるシーンでは、「IT」で登場したキャラの名前が出てきたり、"IT"そのものの存在を匂わせる表現があったりする。
巻末の解説によると、デリー以外にも、他のキング作品で出てくる地名などがあったらしいが、自分は全然、気付けなかった。


ちょっとしたサービスのつもりなのか、
「ピエロのペニーワイズは生きている」
という一行もある。


「IT」を読んだ事がある人が見れば、「!」と思うだろうが、知らない人にとっては「?」だろう。
が、物語の筋には全く関係ないので、絡みは分からなくても、全く問題はない。
そういうのが気になる人には、気になって仕方ないだろうが・・・。


物語の構成としても、どちらも過去と現在のエピソードが交互に語られる、という点で「IT」と似ている、と感じた。
「IT」では、過去の現在の話が同時進行し、本作品では回想シーンとして、という違いはあるが・・・。


過去と現在の話が切り替わる部分は、単純に章や節を変えるのではなく、場面は大きく変わるが、言葉としては繋がっている、という方法がとられているのが印象的だった。
例えば、過去の回想シーンの終わりが「目を覚ませ、目を」で終わり、現在の場面に戻った時、「覚ませ」で始まる、といった具合。
勘違いかもしれないが、他の作品でも同じような手法が使われていた気がする。


ところで、4人の他に重要なキャラとして、ダディッツ、という人物が登場する。
4人を結びつける鍵となる人物。


4人のうち、2人は早々と物語から退場してしまい、回想シーンのみの登場となる。
この回想シーンでの4人とダディッツのエピソードが、実に生き生きとしている。


現在のシーンは、大雪が降っているので、モノトーンの世界、それに暗い描写が多い。
それに対し、過去のシーンは気味の悪い場面はあるものの、おおむね明るい場面が多い、と対照的なのも影響しているかもしれない。


本作はSFサスペンスものではあるが、4人とダディッツとの友情の物語でもある、と思った。

アバター
2014/09/02 21:39
「スタンド・バイ・ミー」は名作でしたね。
外国の映画なのに、なぜか懐かしい感じを抱きました。

「ペット・セマタリー」の映画版は昔、テレビで放送してたのを見ただけだったような・・・。
個人的には小説版の方が面白かったです。
アバター
2014/09/02 18:09
キングといえば、スタンドバイミーを思い出します。中学生の頃、美術の先生が、授業で、ビデオ(当時なので)鑑賞させてくれました。あの頃、彼らと同じように、仲良し4人組だったのですが、いまは、みんな大人になり、ばらばらです。あの時代に、もう一度もどってみたいです。ペットセメタリーも、映画化されていましたね。小説ではよんだことがないのですが、ちょっと興味をひかれました。ドリームキャッチャーおもしろそうですね。
アバター
2014/09/01 22:53
>チェリなの★さん
「IT」は話自体も面白かったですし、過去と現在が同時進行で進む、という構成も面白かったですね。
そういえば、少し前に読んだ「ペット・セマタリー」もキング作品では好きな作品でした。

>和流さん
自分は逆に映画の方を見ていませんでした。
キング作品はB級映画テイスト全開のものから、感動モノまで幅広いので飽きないですね。

アバター
2014/09/01 10:46
映画は見たけど、原作は読んでないなぁ。
スティーヴン・キング面白いですよね^^
アバター
2014/08/31 21:13
イットは 怖いです~~~~

あの幻覚は 蜘蛛のおばけが作ってるんでしょうか・・・

スティブン キングの本は、タイトルは知ってますが、
いろいろ読みたいです^^



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