Nicotto Town



泉奏誕生日企画 いつまでも・・・・。【前編】

____いつも優しくて、笑顔で、答えに導いてくれるあなたが大好きだった。

*奏*
あなたに出会ったのは今日のようなぽかぽか陽気の春の日だった。

俺は高校に入ってまだ一年弱。
校内を把握し切れていないため、いろいろな場所を回っていた。
そんなとき色とりどりの花がたくさん咲いているテラスを見つけた。
休憩がてらそのテラスにある椅子に座った。
するとぬいぐるみを抱き締めた男子生徒がテラスに向かって歩いてきた。
「あれー?
 今日も僕しか居ないと思ってたのにー・・・」
がくりと肩を落としながらも俺の目の前の椅子に座った。
彼は、校内でも相当な有名人だ。
家はお金持ちで、家から通学してもいいという特別待遇を許されている。
そしてなにより、いつも一緒に居るぬいぐるみのコンスタンティンと彼の可愛らしい笑顔、は校内で毎日話題になっている。
「あ、そうそう!
 思い出したー!
 君って今度から風紀委員長になる1年の泉君だよね!」
可愛らしい笑顔を生で見るのは初めてだったが、思いのほか可愛らしかった。
「そういう、あなたは2年の榊原タツキ先輩ですよね?」
俺が彼に聞くと彼はうんっ!と答え、
「堅苦しいの苦手だから、タツキでいいよー?」
と言った。
「じゃあ、タツキ先輩で。」
俺の反応が少し気に入らなかったのかタツキ先輩はいいけどー・・・などとぼやいていたがおれは気にせず話を続けた。
「そういえば、タツキ先輩はここに何の用で?」
と、恐る恐る聞いてみるとタツキ先輩は嬉しそうな表情に変わった。
「えっとねー!
 ここで、お菓子食べようと思って♪
 ここは人が少ないから落ち着くしお花も綺麗だからねー!
 奏君は何の用事ー?」
俺の・・・用事?
そんなものないさ。
だって、校内を歩き回っていただけだから。
「特に理由はないですかね。」
そう答えるとタツキ先輩は少し笑って自分の鞄をごそごそと探り始めた。
「あったー!
 ねぇ、奏君!
 目閉じて、口開けてー?」
俺がでも。。。と言うとタツキ先輩はいいからっ♪と念を押した。
そこまでと思い目を閉じて口を開けると甘くてふわふわしたものが口の中に入れられた。
「マシュ・・・マロ・・・?」
ふわふわしたマシュマロの甘い味からはタツキ先輩の笑顔が思い浮かんでくる。
「美味しかったかなー・・・?」
タツキ先輩が不安そうに聞いてきた。
「そんなことないですよ。
 そろそろ、下校時刻ですね・・・・。
 タツキ先輩は明日もここに来ますか?」
なんて変な質問をしてしまったのだろうか。
言った後に俺はとてつもない後悔をした。
「もちろんだよっ!
 じゃあ、僕そろそろ帰るねー!」
タツキ先輩は笑顔でバイバーイと俺に手を振りながらテラスを立ち去った。

その日から俺とタツキ先輩は毎日、放課後になるとこのテラスでともにお菓子を食べるようになっていった。
日をおうごとに俺はタツキ先輩に惹かれていった。

俺が2年に、タツキ先輩が3年に進級した翌月、5月のことだった。
1年生の朴ウィトがダンス部を作らないかとタツキ先輩と二人でアキラを勧誘していた。
タツキ先輩は前々からダンス部が作りたいんだー!と嬉しそうに話していた。
おれはアキラのおかげで半強制的にダンス部に入ることができた。

8月。
・・・といえばアキラの誕生日。
それから、タツキ先輩の誕生日だ。
今日は8月6日。
アキラとタツキ先輩は誕生日が一日違いのため、2人の誕生日がすぎた直後。
すなわち、8月7日に誕生日会をすることになった。
俺とタツキ先輩の秘密の時間。
今日は一か八かタツキ先輩に告白しようと思う。
俺はいつもより10分だけ早くいつものテラスに向かって歩き出した。
いつもの時間。
午後3時50分。
タツキ先輩はいつものところからやってきた。
いつもより嬉しそうな表情で。
「奏君、今日も早いねー?」
疑問のようで疑問でない言葉を述べながらタツキ先輩はいつもの椅子に腰をかける。
後5秒したら言おう・・・。
5、4,3,2,1、・・・・

「あのさ、」
「あの、」

はもっただと?
先輩優先だな。これは。
「お先にどうぞ。」
と笑かけると
「奏君から言うのー!
 先輩命令だよー?」
と言われてしまった。
そのため、俺は軽く深呼吸をした。


「好きです。」

たった4文字の告白。
シンプルだけど、俺の心そのままだ。

「奏君・・・・。
 僕、もね、奏君のこと大好きだよ・・・・!!」

心が躍るかと思うほど嬉しかった。
しかし、タツキ先輩の言葉には迷いが見えた。
何かを隠している気さえした。
でも、それを問いただす必要はない。
タツキ先輩が自分で言ってくれるまで待てばいいだけだ。

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