Nicotto Town



泉奏誕生日企画 いつまでも・・・・。【後編】

翌日の誕生日会も無事に終わり、夏休みも後半に入った。
今日はタツキ先輩の希望で二人でひまわり畑に来ていた。
キラキラと輝かしい黄色に俺とタツキ先輩は見ほれていた。
「ねーねー!
 今度はどこに行くー?
 次は奏君の行きたいところだよー?」
帰りのバスの中でタツキ先輩はこういってきた。
「俺の行きたいところは
 タツキ先輩の行きたいところです。」
そう答えるとタツキ先輩の顔が急に真っ赤になったと言うのはいうまでもないだろう。


新学期が始まる9月になった。
俺とタツキ先輩の秘密の時間は今でも続いている。
今日も帰りのホームルームが終わると俺はいつも通り例のテラスに向かった。
だけど、いくら待ってもタツキ先輩は来なかった。

その翌日も、次の日も、タツキ先輩は来なかった。

タツキ先輩が来なくなってから今日でぴったり1週間。
今日も来ないのだろうか、と不安に思っていたがタツキ先輩はいつもより早くテラスに来ていた。
そして、タツキ先輩は静かに口を開いた。
「奏君・・・・あの・・・さ・・。
 僕、病気なんだって・・・・。
 気づくのが、おそ・・・くて・・・もう、手おく・・・れなんだ・・・・って」
涙を零しながらも必死に言ってくるタツキ先輩に俺はかける言葉を失った。
いつもとちがい、タツキ先輩の声には優しさがなかった。
絶望と悲しみが強く感じられた。
「怖いよぉ・・・・・
 みんなともっと一緒に居たいよ・・・・・。
 奏君ともっと色んなところ行きたいよ・・・・・」
俺はただタツキ先輩の頭をなでることしかできなかった。


風が冷たくなってくる10月になった。
今日は特に寒い。
俺たち5人はアルスマグナの練習にいつも通り取り組んでいた。
練習が終わるとタツキ先輩がみんなに話があるんだ、と言って俺達を呼び止めた。
先生は知っていたのか後ろで少し悲しそうな顔をしていた。
「奏君は知ってるかもしれないけど、僕は病気でもう長くないんだ・・・。」
その言葉は何度聞いても慣れられるようなものではなかった。


「もって来月の末だろうって言われてる・・・・。」

「でもさ、僕ね、最期までみんなと踊りたい・・・・」

「最期までみんなとばかやって笑っていたい・・・・」

タツキ先輩の言葉に俺達はうんうんと大きくうなずいた。
別れ際にタツキ先輩は俺に
「奏君・・・
 最期まで僕のそばにいてくれる・・・・?」
と聞いてきたので
「当たり前です。
 タツキ先輩を見捨てるはずがないでしょう?」
と言って見せるとタツキ先輩はそっかぁ~と嬉しそうな表情をした。



11月に入ると身体のそこから冷えるような天気が続いた。
タツキ先輩は日に日に弱っていった。
だけどずっと笑顔で優しかった。
「ねぇ、奏君、
 死んだ人は星になって
 また違う誰かが死んだときに生まれ変わるんだってー」
俺は何もいえなかった。
「だからね、僕、
 死んじゃってもまたみんなに会えるなら幸せだなーって思ったんだ」
そういいながらもタツキ先輩はまた泣いていた。
「タツキ先輩・・・・。
 俺はずっとタツキ先輩のそばにいますよ・・・?
 俺は、ずっとタツキ先輩のことが好きですよ?
 たとえ、タツキ先輩がいなくなってしまったとしても、」
無我夢中だった。
何か言わないとタツキ先輩が今にもいなくなってしまいそうで怖かった。
抱き締めていないとここにいると感じられなくなりそうで怖かった。
俺達の足元に色づいた葉が落ちてきた。

今日は12月24日。
東京でも雪が降るほどだった。
タツキ先輩は今月から入院することになった。
そして、今晩あたりが山らしい。
アルスマグナのメンバーも今日は病院に泊まることを許されたため、全員でタツキ先輩の病室に来ていた。
「みんな、最期になっちゃいそうだからいいたかったこと言っていい・・・?」
タツキ先輩の質問に全員がうんと大きくうなずく。
「僕はさ、奏君とあってアルスマグナに入るまでずっとコンちゃんと2りだったんだ。
 でもね、奏君に出会ってみんなでアルスマグナを作って、たくさん踊ってバカみたいなことたくさんやって・・・。
 この一年間とっても幸せだった。
 僕が居なくなっちゃったとしても、僕のこと
 
 忘れないでね・・・・・?」

俺達は無意識に涙を流していた。
それをみたタツキ先輩が俺の頭をなでたのは言うまでもないだろう。


夜11:30分のこと。
それはあまりにも突然だった。
「みんな・・・あり、がと・・・・
 そうくん・・・・だぁいすき・・・・」
それだけ告げるとタツキ先輩は静かに息を引き取った。
俺は何度も泣いた。
1週間学校にもいけないほどだった。


俺は3年生になった。
今日、18歳になってみんなにたくさんお祝いしてもらった。
今、あなたが生きていたらどう思うのだろうか。

タツキ先輩・・・・・。
あなたはたくさんのことを残してくれました。
あなたと出会ってから俺の表情は柔らかくなったらしいです。
あなたと出会ってから別の考え方もするようになりました。


先輩。
俺は今でもタツキのことが大好きです。

1年半が経ってしまったけれどもあなたが言って欲しかった名前で呼ぶことができました。


「これからも、愛しています。」

俺がそう呟くとどこからか温かい風が吹いた。



***
一日遅れ!!!
長くなってしまいましたが読んで下さいありがとうございます!

コメントお待ちしておりますww

#日記広場:自作小説

アバター
2014/09/18 22:02
やべぇ…超いいじゃん…!!

タツキっく亡くなっちゃったけど、それでも奏くんがタツキっく一筋って所が可愛い!
何これ!?まじ天使なんだけど!w

ていうか、前より文才上がったよね?w
ずるいなー…ww
ほんと、いいと思う!
普通の風じゃなくて、「温かい風」とか「色付いた葉」とか、綺麗な言い方だと思うよ!
アバター
2014/09/12 19:36
文才あるわ…
羨ましい!!

俺、もっとアルスマグナについて詳しくなれるように頑張ろう!



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