好きな5作(小松左京)
- カテゴリ:小説/詩
- 2014/09/13 08:17:33
1.果しなき流れの果てに
欧米の影響を受けた時間テーマのSFですが、到達地点が誠に日本的。
運命や定めに抗う存在の壮大な失敗をリリカルに描く。無常観に近い。
この作品のラスト、小松作品の中でも一番好きです。究極のハッピーエンドかも。
2.日本アパッチ族
焼跡闇市派としての彼の資質が濃厚に出た初期の傑作。
失業罪で社会から追放された人々がなんと……鉄を食べて生き延びる。
彼らは追放された者として政府、世界を相手に戦争をおっぱじめる。スバラシイ。
3.すぺるむ・さぴえんすの冒険
壊滅した地球から巨大恒星間宇宙船で逃げ出した人類のその後を描く中編。
ロマンチストとしての小松の夢はこのあたりにあったのではないかしら。
『種を蒔く』がキーワードでしょう。
4.日本沈没
リベラル系の論客としての小松左京を愛する者として、
この作品や『首都消失』などに出てくる保守系政治家にとても惹かれます。
映画封切当時、三時間行列して観たのもよい思い出。藤岡弘の良い部分が出ていた。
5.継ぐのは誰か
人類進化テーマと古代マヤ文明が渾然となった長編。
電磁波を自由に使いこなす新人類ってところが見事な未来予測。
遅かれ早かれ、人体に電子回路が内蔵されると信じております、私。
ポーランドのレムと並び、私の愛するSF作家です。
この人達の基本には戦争体験がある。悲惨をくぐり抜けた上での創造力の爆発。
レムはペシミストだけど小松は希望を失ってない。そこが永遠の文学青年。
ホーガンのシリーズは面白かったです。ガニメアンという異星人がまことに魅力的。
ハード系ではチャールズ・シェフィールドというイギリスの作家も好きです。
ドタバタ系では……スラデックやラファティをよく読みました。