雑踏の中で
- カテゴリ:小説/詩
- 2014/10/02 08:55:27
雑踏の中を歩いても
行く人々が風景に見える
見ているのか 見えてないのか
分からない街の中
季節の風を受けながら
こんな匂いの中で
歩いていた二人
それもまた人には
風景に見えたのだろうか
もうそんなことはどうでもいい
どこまで思い出を追うのだろう
遠い彼方に飛ばしたいのに
二人つないだ手がうつろになって
やがて冷えていって
手袋なんかじゃ暖められない
木の葉の散る季節まで
後もう少し
色づくそれを見上げながら
二人歩いていた青葉の頃が浮かぶ
きらめいていた陽をあびながら
季節の分かれ目を待つように
二人が離れていった
何があったのかもわからないまま
一つになった影が浮かぶ
黒く重く 染みつくように
お互いにもう少しぬくもりがあったら
もう少し夢が一つだったら
今でも寄り添っていただろうか
今になったら突き刺すそれは
何も教えてはくれないけれど
会えなくなっても今でも
求めているこの手が
空しくて 悲しくて
恋しくて 淋しくて
辿る道には何もないのに
終わりにしたかった でも
二人過ごした日々がいじわるをする
もう生きられないと思った心も
それに引きずられながら
傷ついて行くのを見ている
もうさよならをしたいのに
まだ見つめているこの日に
二人は何ができたのか
問い詰めてみても
風景だけが流れていくだけ
ステキな詩ですね。
見習います。。
互いに振る為の手になって
今
天に突き上げる為
固く握る為の手になった。
この手を与えてくれたのは
消え残る、そのぬくもり。