悲しみの湖面
- カテゴリ:小説/詩
- 2014/10/06 16:05:57
結んでいた手を離したのは
私からだったろうか
あなただったのか
もう肩よせ合うこともなくなって
いつからだったろうか
目を合わせて話さなくなったのは
気が付いていたけれど
認めたくなかった
うつむいて座っている私を
何も言わずに外を見ていたあなた
時間が長く感じるなんて
こんな時がくるなんて
段々と会う時が少なくなって
もう覚悟していたのか
もう私のことなど見えないと
あなたのうつろな眼の中では
別れの言葉をもらう方が
どんなによかったか
あなたもきっとそうだったのだろう
でも切り出せなかった
「もう別れよう」
「そうね」
そんなことしか言えなかった二人
今までの長い日々は何
今でも好きなの あなたのことは
でも黙り込んでいるあなたが
私を見ないあなたが
辛すぎて 悲しすぎて
もう道はないと思った
私達の前には
二人の足跡ははるかかなたに
行ってしまったと思った
悲しみをどこに捨てよう
深い深い湖の底に
沈められるのだろうか
思い出と言う箱に重りをつけて
でもまだ放せない
こんな私が悲しい
あなたと歩いた道を
今でも踏みしめている
さよならをした
あなたのすべてに
さよならをした
今までの私に
でもやはり心に残るのは
あの日の二人のこと
新しい恋などできるだろうか
沈めた箱の姿を見つめている今