黄昏の波
- カテゴリ:小説/詩
- 2014/10/16 08:53:21
木枯らしが吹くにはまだ
季節は早いけれど
寒い風が吹いて
私の心をかじかませる
暖めてくれるあなたの手もなく
でも ぬくもりは消えず
追いかけるでもない私の
乾いたはずの目を濡らす
季節が変わるそのたびに
何を思っていたのだろう
まばゆい季節はもう過ぎ去って
それを追うように去って行ったあなた
あなたがくれたこの愛は
どこに捨てたらいいのだろう
まだ持っているこの愛は
どこに残したらいいのだろう
ガラスに映る私の影が
問い詰めてみても
そんな言葉さえも伝わらなくて
暗い通路をただ行くだけ
あの明るい日々がもう一度
戻ってきたとしても
私は恐れしか抱けない
どこに行くのかを知ってしまった今では
あなたを愛していた事実は
決して消えはしない
消すこともできないままに
どこに行こうというのか
寄せては返す波に
黄昏を追い求めて
ここに来たけれど
二人の影はもうないのに
深い愛にも黄昏があるとしたら
人は何を求めているのだろう
信じていた愛さえも
夜闇を迎えるというのか
好きだったあなたのメロディも
タバコの香りも
引いて行く波がさらって行く
ついて行けない私を残して