Nicotto Town



擬似親子

ARMS 6
 皆川亮二
 七月鏡一(原案協力)
  小学館文庫


アメリカに渡った主人公達が立ち寄った街、ギャローズベル


「絞首台の鐘」という意味を持つ街の名から、不吉さを感じるが、それは的中。
夜中に襲撃を受けてしまう。


襲ってきたのは、「猟犬(ハウンド)部隊」と呼ばれる部隊。
個々は運動神経、反射神経、五感を人工的に強化した兵士だが、それ以上に強力なリーダーの下、完全に統率された行動をとるのが最大の特徴。
これまで出てきた敵が個々の能力が現実離れしている、というのと比較すると、非常に地味だが、実際は、こういう方がコワイと思う。


そして、その猟犬部隊を操るのは「チャペルの子供たち」
こちらも人工的に生み出された天才児たち。


当初、エグリゴリ(主人公達の敵の組織)の指示で襲撃してきた、と思われたが、それは違っていた。


「チャペルの子供たち」も「猟犬部隊」も、エグリゴリにとっては実験対象でしかなかったのだ。
しかも、どちらかというと「失敗作」・・・。


「チャペルの子供たち」は、天才児だけに、いち早く自分達の立場に気付き、エグリゴリに反旗を翻そうとする。
そのための実働部隊が「猟犬部隊」


エグリゴリの科学陣が制御できなかった主人公達のARMSを、自分達が制御(ロボトミー手術のようなものを行って、コントロール)する、という実力誇示兼戦力として使うため、襲撃したのだ。。
こんな事をしなくても、素直に共闘を申し出ればよかったのに、と思うのは凡人の発想か。


ただ「チャペルの子供たち」にも裏の事情があることが次第に判明する。
この子供たちは二重の意味で、「親」から捨てられていたのだ。


まずは「実の両親」
「チャペルの子供たち」(の脳)があまりにも早く成長するために、実の両親が恐れ、エグリゴリに引き渡してしまったのだ。
そして、その後、「親」代わりのエグリゴリから「失敗作」と見なされてしまう。


エグリゴリに反旗を翻した理由も、「打倒」と言うより、「"親"に"力"を認めてもらいたい」という気持ちからではないかと思う。


一方、猟犬部隊のリーダー、スティンガーはスティンガーで、過去に自分の子供より、自身の能力を高める(強くなる)事を選んでしまった、という負い目があった。
「チャペルの子供たち」が誘いをかけてきた時に、子供たちの裏の事情をそれとなく察して、「親」になろう、と手を組んだのだ。


「親」に捨てられた「子供」と、「子供」を捨てた「親」


主人公たちと闘う前夜、「チャペルの子供たち」のリーダー、オスカーが「猟犬部隊」のリーダー、スティンガーに「命令」を出すシーン。
「僕の前にひざまずけ。そして、抱きしめろ。息子を抱きしめるようにだ。」
「どんな事があっても、お前だけは裏切らない。これからも、この僕を守るんだ。」


「チャペルの子供たち」と「猟犬部隊」(と言うより、リーダーのスティンガー)は「使用者」と「道具」という関係でなく、「擬似親子」関係であった、というのが印象に残る。


アバター
2014/11/05 21:11
連載を読んでいた当時も最後の章は、ひっぱり過ぎ、という印象を持ったのを覚えています。
ピンピンしてる悪役もいたとはいえ・・・。


アバター
2014/11/05 02:27
ARMS、昔夢中で読みました。
ラストを考えると、人気が出過ぎてしまって、かなり
引き伸ばした感があります。
自分の彼女までARMSになっちゃう所とか。
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2014/11/04 20:58
人工的に生み出された天才、という事になってましたから、得体の知れなさの方が先に立ってしまったのでしょうね。
アバター
2014/11/03 22:02
ワタシだったら、
そんな天才児の子供を持つ親の立場だったら、子供を誇りに思うけどな~。

恐れたりはせず、
人類の未来を託すのに相応しい人物になって欲しいと、
手塩にかけて育て上げるわ~~。
アバター
2014/11/02 21:08
連載が長く続いたので、全部読もうとすると、かなり気合いがいるのが難点ですね。
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2014/11/02 20:10
いつも読んでみたくなるお話しです^^



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