Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


夕焼けを残す


うちからわりとすぐ…、あるいて15分ぐらい。
雑木林のある崖の上の公園、ちょっと見晴らしがいい。
木々の向こうに町や遠くの山々がみえる。
とくに夕方がいい。
西の方に富士山がみえる。
夕暮れ時。紅葉した葉も空も似た色たちで
秋ならではの均衡だ。

バイトがおわって、ちょっと遠回りして、そこに足をむけた。
ちょうど夕方で。
何人かが、崖の下にひろがる景をみつめている。
それと関係なく、ベンチのあるあたりで…
あれはなんだろう? ヨガなのか、ストレッチなのか…。
ともかく、腕をゆっくりまわし、呼吸に注意しながら運動している
女性もいた。

富士山と夕焼けの空…スマホで何枚か撮った。
すこしだけ移動して、木々の間からみえる感じで
富士山を撮ろうとするがうまくいかない。
手前の木々にピントがあってしまうからだろう。
なにか方法があるのかもしれないが、すぐにあきらめる。
こうして見ていることのほうが大事だ。
いや、みている時間のほうが、というべきか。

富士は大きくみえる。もし写真にうまく撮れたとしても
その姿はきっと小さいだろう。
映像を焼きつけて保存できはしないけれど、
こんなふうに、木々や空の色や富士、「このさきは崖で危険です」という立て札、
ひよどりの声、つめたい空気、おちばを踏む音、これらをこうして感じることができる…。
写真にいいところはたくさんある。
けれども、こうして見つめることも、いいところはたくさんあるのだ。
…そんなことを思った。

けれども、先の見晴らしのいい場所にもどって。
そこに、中学生ぐらいの男の子がいて、ガラケーで夕景の写真を撮っていたのを見た。
こころがなごんだ。

夕焼けは、あるいは、写真に撮ることで、なにかしら残るかもしれない。
そして、こうして書くことでも、すこしは、なにかが…。
残ってほしいと思ったり。




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