黄色い天使と赤い人間。
- カテゴリ:自作小説
- 2014/11/19 23:18:26
第二章 天使の過去
*タツキ*
とても驚いた。
過去に僕が地上に送り返したはずの3人がそこにいた。
ぱっくんも奏くんも、アキラっちょだって、僕が生かすことを決めた人間だった。
ぱっくんが入ってきてすぐに僕とぱっくんは知り合った。
奏くんとアキラっちょとは今日初めてであった。
だけどね、僕は君たちのこと知ってたんだよ?
あきらっちょは3年ほど前
ぱっくんは2年ほど前
奏くんは3年とちょっと前
一度話しているんだ。
話したのはこの世ではなかったけど。
これはみんなにも説明しないとな・・・。
変に思い出されるより思い出させて分からせておかないと。
僕は授業をほっぽって先生のいる化学準備室に足を運んだ。
「せーんせっ♪
遅くなっちゃってごめんなさい」
室内に入ると先生はニコッと微笑んで全然いいよと言ってくれた。
「今日はね、お願いがあるの。」
「何?」
「ダンス部の顧問・・・して欲しくて・・・っ!」
すると先生は少し考えるような仕草を取った。
「ちゃんとやるならいいんだけどさー
それってタツキが天使だってバレるリスクが上がるんじゃないかな?」
先生の言うことは正しかった。
だけど、彼らにならバレてもいいって思えたんだ。
「みんな、数年前に僕がこっちの世界に返した人たちでね、
部活をしてちゃんと説明してってしたらいいんじゃないかなって。
後で思い出されて天使だったみたいなこと言われるのが一番困るし・・・。」
僕が言うと先生はうんうんと大きく頷いた。
「タツキがそうしたいって思うならそうしたらいいよ。
先生はあくまでもタツキを天使にしちゃった悪い大人なんだしな」
「先生ありがとう・・・っ!」
放課後になると僕は先生と待ち合わせ場所であるテラスに向かった。
先生はホームルームをすっぽかして僕と一緒にいたから後で奏くんにきっと怒られる。
しばらく先生と他愛もない話をしているとぱっくんの騒がしい声がした。
「タツキせんぱぁぁぁい!!
遅くなってすみません!
ちゃんと先輩たち連れてきましたよ!」
キラキラとしたぱっくんの笑顔はまるで小さな子がはしゃいでいるかのようだった。
先生は最後までちゃんとやりきることを条件に顧問を引き受けてくれ、その日はそこで解散となった。
先生と僕は生徒がみんな下校したのを確認すると二人で秘密の話を始めた。
いつもどおり。
「僕ね、今日先にみんなに話しておこうと思うんだ。」
僕が話すと先生はうんと頷いてからこういった。
「いいと思うよ。
タツキのしたいようにするのが一番だ。
先生もさしぶりに行っていいかな?」
先生のことばに僕は大きく頷く。
「もちろんです!
逆に来てください!」
僕が願いを言うと先生は満足気な表情で微笑んだ。
「じゃあ、いつもどおりで。」
そう言うと僕らは一旦別れた。
夜10時30分。
僕の部屋には先生が来ていた。
一応仕事、ということで仕事をする時の服装に着替えていた。
そして、夜11時30分。
時計がその時間を刺した瞬間、僕と先生はあるお部屋に足を踏み入れた。
赤と白と黒の彼らを夢とは別の異空間に呼び出す。
数十秒もしないうちに僕の創り出した世界に現れた。
「やぁ、こっちの世界では数年ぶり、かな。」
僕は彼らに微笑んだ。
すると彼らは驚いたような表情をした。
「タツキっく・・・・?」
そんな表情になる、それが普通なのだろう。
「ちょっとだけ僕の昔話を聞いてくれるかな。」
僕はその日、公園でこんちゃんと遊んでたんだ。
そろそろ帰らないと怒られると思って歩道を歩き出したんだ。
そしたら、急に車が僕めがけて突っ込んできたんだ。
気がついたら真っ白なところにいた。
床も壁も天井もないただの白い空間。
神様は実に意地悪で僕をその空間から出すことをしてくれなかった。
そんなときだった。
先生が僕を天界から連れ出してくれたんだ。
現実世界に帰れたら僕は天使となり、人の死と向き合わなくてはならないということ。
そしてもう一つ、人間よりも何倍も長いあいだ行き続けなくてはならない。
決して、自ら死を選択することはできないということが条件だった。
僕は天使の仕事を引き受けた。
僕が天使を初めて6年くらいが立ったある日だった。
僕と同い年くらいの真っ白な髪の少年が天界にやってきた。
「ねぇ、どうして君はここにきたの?」
僕はみんなにする質問を彼にした。
「興味ないですね。」
子供なんて興味ないといった目で僕を見てくる。
「そっかぁ~
そんな君に3つの選択肢をあげるね。
1つ目、生まれ変わる
2つ目、てんごくに行く
3つ目、今の年から人生をやり直す
どれがいいかなー?」
「どれでもいいです」
生きることも死ぬこともできない僕には白い髪の彼・・・奏くんが羨ましかった。
だから、責任を持って最後まで生きてもらうために人間界に返した。
それから、半年後くらいのことだった。
真っ赤な髪の彼が僕の前に現れた。
「ねぇ、どうして君はここにきたの?」
毎回同じ質問をする。
「車に跳ねられたから、じゃねーの?」
生きるも死ぬもどうでもよさげな彼。
「そっかぁ~
そんな君に3つの選択肢をあげるね。
1つ目、生まれ変わる
2つ目、てんごくに行く
3つ目、今の年から人生をやり直す
どれがいいかなー?」
「3つ目以外ならどっちでも。」
そういった彼に生きるということを知ってもらうために僕は彼を人間界に返した。
それからさらに半年後くらいのことだった。
黒色の元気な彼が現れた。
「ねぇ、どうして君はここにきたの?」
同じ質問にもそろそろ飽きてきた。
「なんででしょうねー!」
キラキラとした笑顔を向ける彼。
「そっかぁ~
そんな君に3つの選択肢をあげるね。
1つ目、生まれ変わる
2つ目、てんごくに行く
3つ目、今の年から人生をやり直す
どれがいいかなー?」
「ランダムで♪」
笑顔でそう言った彼を僕は人間界に返した。
「最初に話したのが僕の過去。
で、次に話したのがみんなと初めて喋ったときのこと♪」
ある者は涙を。
ある者は戸惑い。
ある者は俯いていた。
先生は僕を悲しげな瞳で見つめていた。
*天使の過去はまだまだ続きます!
そして、予定をちょっと変更!しました!
コメ待ってます♪
誰が戸惑って、誰が涙を流して、誰が俯いているのか気になるねw
凄いなー…ほんとw
雨天才やわww