ドラマ【軍師官兵衛】
- カテゴリ:テレビ
- 2014/11/24 16:04:07
【感想】いよいよ時代は関が原に向かって動き始めましたね。まず気になるのは糸の離縁と栄の輿入れです。明らかに政略結婚で、ドラマでは糸が離縁を望んでいたように描かれていましたが、怪しいものですね…。何しろこのことがきっかけで、黒田家と蜂須賀家は150年もの間、「不通大名」として、同じ江戸に出仕する大名でありながら、意図的に交際を断つ間柄となったのですから。江戸城内で顔を合わせても会釈すらしなかったようです。これだけ禍根を残したということは、やはり長政が家康の重圧に負けて、無理やり糸を離縁したのではないかと思います。大河では主人公サイドの人物をなるべく悪人に描かないようにしてますからね。でも私はこのエピソードは、長政が次の天下人たる家康の言うことに逆らえなかったというよりも、長政が家康に心酔していたからではないかと思うのです。関が原での獅子奮迅の働きぶりも、その心酔がどれだけ深かったか表しているのではないかと。官兵衛が秀吉に心酔したように、長政もまた家康に心酔したのでしょう。黒田家の血とでも言いましょうか。思えば官兵衛の父・職隆も、小寺政職には絶対逆らいませんでしたよね。
さて次に、関が原の前兆ですが、さすがに官兵衛が三成を訪問し、三成がその後上杉と共謀し、徳川を挟み撃ちにするという計画を、ここで語らせたのはちょっとどうなのかなと思います。その意図がよくわからない。何故ならそのことを家康は百も承知で、挟み撃ちされた時のための準備をして出陣するだろうとまで言っているからです。しかし三成は官兵衛の警告を無視し、結局官兵衛の言った通りになります。官兵衛が先を見通せる人物であることを誇張したかったのでしょうが、戦下手の三成が、名軍師の誉れ高い官兵衛の警告を無視した理由に、説得力があまりありませんでした。
官兵衛は密かに天下人を目指し、暗躍します。ここで、本当に官兵衛は天下人を目指していたのか?という疑問が生じますよね。実際、家康につくと公言していた長政とは違い、官兵衛は公的にその態度をはっきりとしなかったようです。
関が原は、後世では東軍が勝つ戦だとわかっているので、東軍の力が圧倒的だったと勘違いされやすいですが、実際には兵数から言っても力は拮抗していました。どちらが勝っても不思議ではない戦だったのです。
官兵衛は直前までどちらにつくのが有利か見計らっていたのではないでしょうか。何しろ長政が家康についてますから、自分も家康につけば、西軍が勝った時に黒田は滅亡の危機を迎えることになります。戦国武将としてそういう計算ももちろんあったと思いますが、何よりこの人は本当に戦が好きなんだなと思います。戦のない世にしたいと言いながら、隠居してからは暇だ暇だと言い、世が乱れ始めると生き生きとした顔で策略を巡らしているのですから。天下人ならずとも、あわよくば九州全土を自国の領土としたいくらいは考えていたかもしれません。これだけ大きな戦で、勝った方が弱るといっても、一国の、しかも隠居したはずの坊主に敗れるなんてことは、さすがにないと思いますからね。まぁ、時期的に言って、最期の賭けだったんでしょうね。