青の涙と青の誓い。
- カテゴリ:自作小説
- 2014/11/28 17:42:13
黄色い天使と赤い人間。
第三章 青の涙と青の誓い。
*奏*
タツキ先輩の話を聞いた俺は戸惑いを隠せなかった。
話が悲しい、というわけではないが辛く暗い話だった。
俺がタツキ先輩の立場だったら?
そう考えると恐ろしかった。
タツキ先輩はそんな、俺たちが目を背けたくなるような人の死に直接関わってきた。
少し冷静さを取り戻した俺はアキラやパクの方を見た。
すると、二人も同じ感じだったのだろう。
アキラは俯き、パクは涙を流していた。
あの時どれでもいいです。って言わなかったらタツキ先輩はどうしたのだろうか。
可能性を考え出したらキリがなくなってしまう。
タツキ先輩は生かすか殺すかを、人の生死は決められるのに自分の生死は自分の自由にはならない。
俺らはどこかで人が死んでいったと聞いてもへーといったところでおわる。
けれど、彼には人の生死の重さがわかっていてさらに自分の手で決めなくてはならない。
俺たちが辛いと言ってきたことの数倍も辛いことをしてきていたのだ。
ふと顔をあげると先生がいろいろな思いの詰まったであろう目でたつき先輩を儚げに見つめていた。
隣からぼそっと聞こえたごめんの声。
さっきの話によるとアキラはどちらかといえば死を望んでいたようだった。
パクはどっちでもよさそうだったけれど。
タツキ先輩は気にしないでといっていたが、気にしないでいられる訳などなかった。
俺たちは生きるということを、命というものを軽々しく考えていた。
だけど・・・・・。
俺の瞳からは涙がこぼれていた。
「みんな、そんな顔しないで?」
困ったように先輩が言った。
「先輩、ありがとうございました。
俺たち、先輩のおか」
「僕は何もしてないよ。」
そう言って微笑む先輩は美しかった。
「さぁ、もうじき夜が明ける。
帰る前に一つだけ約束、
今日、ここに来たこと、ここで聞いたことは僕ら5人だけの秘密。
わかった?」
先輩の言葉に俺たちは頷いた。
「じゃあ、また・・__」
その言葉を最後におれは真っ白な光に包まれた。
目を覚ますとおれは自室のベットにいた。
さっきまでのあれは夢・・・?
そんなはずはない。
だって俺の頬は涙で濡れているのだ。
「泉、入るぞ」
ガチャ、という音と共にあきらの声が聞こえた。
返事をする前に入ってきては意味がないではないか。
まぁ、今日くらいは許してやろうと思いアキラの声に軽く解釈をする。
「アキラ、どうかしました?」
「いや・・・・・さっきのタツキっくの言ってたことが本当だとするとうちらタツキっくにとって一番嫌なことをやってたんだよな。」
アキラの言うことは俺の考えとまったくもって同じだった。
タツキ先輩、本当にごめんなさい。
心の中で何度も唱える。
「そうですね・・・。
たつき先輩には申し訳ないことをしていたようです。
ですが、俺たちがああいうことを言っていなければ今、ここで俺ら5人が出会うことがなかったということにもなりますよね。」
アキラは納得したように頷いた。
「っていうかさ、さっきから言おうと思ってたんだけど、泉ひでぇ顔」
爆笑しながら言ってくるアキラに少々腹が立った。
「忘れてました。
ちゃんと顔洗っておきます。
俺よりパクの顔の方がひどいと思いますよ?」
大号泣してたし、と付け足すとアキラが先程よりもさらに笑っていた。
「だなー
パクはもうっっ・・・ダメだ・・っ」
笑いすぎて涙を流すアキラ。
その姿に俺はつられて笑ってしまった。
「まぁ、何がどうあれ、先輩に言われたとおり、すべてのことを秘密にしましょう。
俺たちにできるのはそれくらいですから」
その朝、俺たちふたりは誓った。
たつき先輩との秘密を守ること、
そして、
命を大切にするということを。
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この小説で、人の命の重みを伝えられたら嬉しいです。
コメント待ってます!
このシリーズ、終が見えない・・・・。w
私も、昨日(?)位に連載自作小説書いたんだぜ★
私のも、是非読んでくれよな!
何時もの御届けだ♪
人の命の重みかー…大切だよね。でも、俺はまだまだガキだし、世の中のこと全然分かってないから、
命の重みも分かってるつもりで、分かってないんだよな…
俺やっぱり、将来のこととかよく分かんないけどさ、人の役にたつような仕事に就きたいって、
そう思ったw
雨の書く小説は、時々凄いこと書いてるから、尊敬するわw