「北風物語」
- カテゴリ:30代以上
- 2014/12/03 11:25:58
冬の街を北風が走り回っていました。
「どうして誰もいないの?
折角街まで遊びに来たのに
誰か、僕と遊んでよ~」
北風の吹く寒い街。
木々は葉を落とし、人の姿もなく、北風の声に応えるものは誰もいませんでした。
「みんな僕の事が嫌いなのかな・・・」
葉を落とした街路樹の枝に腰掛け、北風はつぶやきます。
すると、木の根元の方から声が聞こえてきました。
「そんな事無いんだけどね」
「でも、わたし達は動けないのよ」
「ここから出してくれたら、一緒に遊んであげても良いわ」
北風が見下ろすと、そこには、枯れ葉をいっぱいに詰めた大きなゴミ袋が、ぽつん、と置かれていました。
声は、枯れ葉達のものでした。
「お安い御用さ。それっ」
北風がゴミ袋を吹き飛ばすと、中から枯れ葉達が飛び出します。
「ふう。やっと自由になったわ」
「ありがとう、北風さん。何をして遊ぼうか」
「鬼ごっこが良いわ、久しぶりに街を走りたいもの」
北風と枯れ葉は、鬼ごっこをはじめました。
北風がオニになり、枯れ葉達を追いかけます。
枯れ葉達は風の中、街中を走り回ります。
「捕まるものですか。こっちこっち~」
「待て~」
「ここまでこれるものなら来てみなさい。あはは~」
「待て~。あはははは」
公園や道路、家の庭や側溝の中まで、街のあらゆるところで追いかけっこ続ける北風と枯れ葉達。
遊び疲れて一休みする事にしました。
「僕はこの樹にもたれて一眠りするよ」
「わたしはここのお庭にするわ」
「わたしはこの公園が気に入っちゃった」
「わたしは、北風さんの隣の樹ね」
思い思いの陽だまりで、お昼寝をはじめました。
どのくらい眠っていたのでしょう。
北風が目を覚ますと、何だか街の様子が変わっていました。
「あれ?ヘンだぞ。街の色が違う。何だか暖かいし・・・。ねえ、枯れ葉さん」
北風があたりを見ましても、枯れ葉の姿はどこにもありませんでした。
「枯れ葉さん、どこに行ったの。ねえ、またいっょに遊ぼうよ~」
すると、土の中から声がしました。
「ごめんね、北風さん」
「わたし達はもうそこでは遊べないの」
「でも、わたし達の子供がそこにいるから」
「一緒に遊んであげてね」
見ると、家の庭には、小さな草が芽を出していました。
街路樹の枝には、生まれたばかりの葉っぱが、お日様を透かして光っていました。
公園の空き地では、土筆たちが顔を出しています。
「あなたが北風さんね」
「お母さんから聞いたわ、あなたの事」
「ねえ、わたし達と一緒に遊びましょう」
街のあちこちから、北風に語りかけました。
「いいとも。さあ、何をして遊ぼうか」
生まれたばかりの木の葉をゆらし
小さな草の芽をゆらし
つくしんぼうもゆらして
街を風が吹き抜けます。
その日、街には春一番が吹きました。
おしまい
うふふふ…北風さんの可愛いお話~♪
思わず、PC前で、笑みがこぼれました~(●^^●)
(家族が、傍にいなくて良かったwww)
寒くて辛い北風さんも~こう考えると~可愛くなってしまう~♪
まさしく~『~ゆちゃまマジック』ですね^^
今~「ほっ」として心が、とても温かくなりました。ありがとうございます~♪
私も寒さに弱いので(喘息とかあるしw)
冬が始まったばかりですが~w 早く春が、来てほしいです^^
~ゆちゃまの暖かいブログや庭の花を観ながら~春を待ちたいと思います~^^
寒い日なので、こんなお話も良いでしょ?
(#^.^#)