裁きの矢
- カテゴリ:自作小説
- 2014/12/20 00:03:16
黄色い天使と赤い人間
第六章 裁きの矢
「先生、あのね、僕、もう先・・・短いみたいなんだ・・・。」
この話を彼が告げたのはもう半年も前のこと。
神様はそんなことすらも許してくれないのかとケントはそう感じた。
ケントは彼のことを愛しており、彼はケントのことを誰よりも信頼していた。
「俺が完全に人間に戻してやれなかったから・・・・。」
ケントはそう言って涙を流す彼を抱きしめた。
*アキラ*
「タツキ・・・っ!」
ごめんな
今更で。
俺はタツキっくのことが大好きだった。
もちろん、ほかのメンバーも好きだったがタツキっくへの思いはほかのメンバーへの思いとは違っていた。
だけど、先生もタツキっくのことが好きでタツキっくも先生を信頼している。
それは初めてメンバーで集まった時からわかっていたこと。
そんな気持ちに正直になった俺は天界に通じている部屋に足を踏み入れた。
*ケント*
奏の電話で状況を知った俺は残っていた仕事を全部けってタツキの元に向かった。
どうか、どうか間に合いますように。
アキラ、踏みとどまってくれ・・・!!
俺は天界への扉を開いて中に飛び込んだ。
*タツキ*
あれほどきちゃダメだといったのにも関わらず彼は僕のもとにやってきた。
初めて出会った時と同じような顔をして。
彼は天からの処罰を受けることになるだろう。
僕に出来ることは何かないのだろうか。
別れは嫌だ。
命がなくなるのは嫌だ。
あきらっちょが、先生が、奏君が、ぱっくんがいなくなっちゃうのはもっと嫌だ。
あぁ、僕はなんてわがままなんだろう。
笑いが、涙がこみ上げてくる。
裁きの矢がアキラっちょの胸を仕留めた。
僕の目の前で血が流れている。
この血は誰の・・・・?
ねぇ、アキラ君、なんで倒れてるの?
なんで血まみれなの?
なんで、目を開いてくれないの?
ねぇ、なんで?
誰に聞いているのかわからなかった。
ただ、答えが欲しかった。
すると頭に直接語りかけてくるような声が聞こえた。
「神生アキラ。
こいつは天界の行き来を繰り返し、この空間を汚した。
よって、裁きを与えた。」
「神様、アキラ君を助ける方法はないのですか?」
「一つだけある。
タツキが神生アキラの代わりに裁きを受けるという方法がな。」
「ありがとうございます。」
まだ、死にたくはなかった。
けれど、一つだけ答えが見つかった気がする。
「大切な人を失いたくない」
どうせ、あと半年の寿命だ。
短くなったって変わりはしない。
だからさ・・・。
「先生、今までありがとうございました。
僕の命(メイ)彼に、アキラ君に託します。」
僕は柱の陰に隠れていた先生に向かって話しかける。
「本当に、行っちゃうのか?」
涙ぐみながら先生は僕にきいた。
「うん。
どうせ、なくなってしまう命ならばアキラ君に少しでも命の大切さを、重みを知ってもらうために使おうかなって」
よく考えると先生が僕の前で涙を流したのは初めてだったかも知れない。
「じゃあさ、行きづらくなったら申し訳ないんだけど、先生の気持ち、聞いてくれない?」
先生の言葉に僕は大きく頷いた。
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入りきらなかったので分割!w
次に続く!w