夜間飛行
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/01/13 04:13:25
粉雪が舞いそうなこんな夜には
あなたのことを思い出す
暑い日も こんな寒い日も
ずっと二人でどこまでも
寄り添い歩くはずだったのに
空を見上げながらあなたと
夜間飛行を夢見ていた
眼下に見下ろす夜景を二人
どこまでもどこまでも
続いて行くと思ったのに
いつかしら日付が変わって
いつの間にか見える風景が
夜ではなく明るい空になっても
そっと眠るあなたを見ていて
起こすこともなく幸せを感じていたのに
どこで道を間違えたんだろう
後戻りできるなら
その日に戻ってやり直したい
でもできない
もう過ぎてしまった日など巻き戻せない
こんなはずじゃなかったのにと
思うのは私一人かもしれないけど
あなたもきっと思うことだろう
ここに私が一人いることを
でも寄り添う誰かがいる
たとえあなたがいないとしても
憧れだけはずっと持っていて
それが私を苦しめて
悲しい涙が打ち消して
思い出にしかならないことを知らしめる
どこに行こうというのだろう
夜間飛行をする飛行機の中で
何を思うというのだろう
小さな光を灯す暗闇の中で
まるで何かから逃げるように
チケットを握りしめて
乗るはずだった便を見送る
怖かった 一人で見るのは
あなたがいない座席で
隣にいるのは見知らぬ人で
もう忘れなきゃいけない
もうここには来ちゃいけない
どこかからそんな声が聞こえる
夜が白々と明けようとしている
夜間飛行をはらい抜けるように