昼下がり
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/01/14 09:14:55
間延びした午後のオフィス
何となく昼休みを引きずって
私はパソコンの画面を見ている
そこには何が映っているのだろう
探しても文字しかないけど
肩寄せ合って歩く人達
そんな後ろ姿が悲しくて
画面の中に私達を探す
もう会えないとわかっていたら
もっともっと時を大切にしたのに
もう会わないとわかっていたら
自分の心に嘘をついたのか
電車のラッシュに揺られながら
思い出すのは二人のことばかり
なぜここにはいないんだろう
愛し愛された者の影が
もう一度辿る事が出来たなら
同じ道は選ばないのに
到達点が違っていた二人
始めから分かっていたわけじゃない
立ちつくす音のない靴音
去っていく音のする靴音
切ない思いを胸に抱いたまま
でも涙が流れなくて
睦まじかった二人に
冬の風が強く吹く
間を裂くように吹く風は
記憶まで飛び去っては行かない