煙
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/01/22 02:46:19
消えて行く煙
消えて行くあなたの影
つかもうとしてもつかめない
必死で手を伸ばしても
もう届かない
いつもいつも
明日が来るのが楽しみで
あなたと会うのが嬉しくて
こんな心を抱えたまま
どこに行けと言うの
解き放たれた魂のように
この心を飛ばしてみても
翼を痛めた小鳥のように
ただ 小枝にしがみつくだけ
飛ぶのを怖がっている
「ごめんな」
その四文字に
何が詰まっていたのだろう
煙に包まれたあなたの姿
佇む私の足元
嫌だって言えばよかったのか
必死で追いすがればよかったのか
そんなことさえ気がつかないで
時を止めてしまったけれど
針はもう進まないけれど
煙を立ち昇らせて
灰になっていく二人の影
もうあとかたもなくなって
灰も風に吹かれて
ただ残るのは私の影だけ
あなたの好きだったタバコの煙
くゆらせながら
いつしか小さな炎も
小さく消えて行く
もう映らないあなたの影と共に