ドラマ【花燃ゆ】
- カテゴリ:テレビ
- 2015/02/03 17:06:49
【感想】今まで何があろうとも寅次郎の味方で、国禁を犯し捕えられた時も、父や兄の梅太郎が切腹を覚悟したり、身内が世間の冷たい風にさらされたりしてきましたが、それでも寅次郎の心配をしていた文が、初めて寅次郎に反抗心を抱きましたね。それは、家族ではなく、寅次郎の弟子が命を落とし、その家族に触れ合うことで、初めて第三者的な立場から寅次郎の言動を見ることができたからでしょう。しかし、それと同時に弟子・重輔が死の淵にあっても希望を失わず、寅次郎とともに見た夢を追いかけていた姿も、目に焼きついたのだと思います。だから、「金子様を殺したのは寅兄様です!」というきつ~い一言とともに、「証を示せ」と言ったのだと思います。文は寅次郎の言動を頭から否定しているのではなく、自分の命ばかりではなく、周囲まで巻き込み、これだけ大きな迷惑をかけながらも、やり遂げたいことがあるのなら、それが本当に日本の通津浦裏に住む人々のためになることなのか、それをはっきりしてもらいたいと言いたかったのでしょう。これは恐らく、今後寅次郎が松下村塾で弟子たちに自分の思想を教えることになる、布石なのでしょうね。いくら大きな志を持っていたとしても、1人の人間ができることは小さい。その思想がどれだけ素晴らしいものか、実行する価値が大いにあることを、他の人々にも教え、理解してもらわなければならない、とまぁそういうことなのでしょう。
今まで自分の考えに自信たっぷりで、江戸で牢につながれた時ですら、牢名主に自分の思想を説いて聞かせたり、野山獄でも読書に勤しんだ寅次郎ですが、さすがに弟子の死は堪えたようで、初めて挫折を味わいます。ただこの人、今後の言動を見るだに、全然反省はしてないですよねw ちょうど安政の大獄が始まったという不運もありましたが、確かに思想は間違っていなかったかもしれないけど、それを実行に移すのに、あまりに慎重さに欠けているというか、一言で言えば「せっかち」ですよね。まぁまだ若く、列強の脅威が間近に迫っているという強迫観念があったので、仕方なかったのかもしれませんが、その後の言動を見ると、やっぱり密航失敗した時に幕府に自首したのは、仕方なかったからではなく、自分のやろうとしたことを世間に知らしめたかったからなのかも…と思ってしまいます。
寅次郎は獄中で富永有隣と知り合い、今後の彼の短い人生で、関わりを持つようになります。あんななりだし演じているのが本田なのでかなり年に見えますが、当時37歳だったらしいですw どんな状況においても希望を失わず、常に前に進もうとする寅次郎がLAWだとするなら、感情の赴くままに生きよと言う富永はまさにCHAOSですよね。この水と油のような2人がどのような交流をしていくのか、興味があります。
他にも今回は、後の木戸孝允である桂小五郎として東山紀之が、安政の大獄を引き起こす井伊直弼として高橋秀樹が、後の西郷隆盛となる西郷吉之助として宅間孝行が初登場。錚々たる面々ですが、宅間孝行はかなり意外でしたねw 以前NHKの時代劇で近藤勇を演じたこともあり、まったく逆の立場を演じることになるとは…という驚きもありますが、西郷が宅間でいいの?wという思いもあったりw また高橋秀樹は、大河「翔ぶが如く」では島津久光、「篤姫」では島津斉彬を演じ、今回はやはりまったく逆の立場の井伊直弼を演じています。奇縁とでも言うのでしょうかね…。