読書メモ ジョセフィン・ティ 2
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/02/06 22:39:22
まだまだ忙しいですが意地で読書中
『フランチャイズ事件』
あらすじ
フランチャイズ家と呼ばれる屋敷に住むシャープ母娘はある日突然ベティーという少女に誘拐監禁され暴力を受け、労働を強要された。と訴えられる。少女の証言は詳細で状況はシャープ母娘に不利になっていく。
娘のマリオン(40代独身、無職)に助けを求められたプレーヤー弁護士はマリオンを気に入り、ベティーの嘘を暴くために奔走する。
感想★4
最初からベティーが嘘をついているという観点から始まるしプレーヤー弁護士はシャープ母娘をすぐひいきにするので なーんだ。と思ってさほど期待せずに読み始めましたが、状況が悪化して魔女狩りめいてくると なるほどと思う集団心理の怖さを感じました。
今じゃ未成年誘拐なので重罪だけど当時はそれほどでもなかったのか?プレーヤー弁護士は「軽犯罪」だと警察に抗議、ただし<被害者>のベティーがおとなしげな美少女のため世間の目は微妙に「性的興味」で<加害者>シャープ母娘を見ます。
たとえて言えば『痴漢冤罪事件』
例えば、警察が首をかしげるような訴えでも『女の子があなたに××されたと言っているので事情聴取させて下さい』と警察に言われるとか、
例えば、そのウソツキ女が三流新聞紙にバーンと顔写真入りで「被害」に遭ったと話してたら。
きっと恥辱で悶絶死したくなるほど悔しいに違いない。
この小説は図書館の書庫から出してもらいました。
解説がなんと江戸川乱歩!
今じゃ通じない常識があちこち出てきますが、最大の欠点は翻訳が古すぎ、下手なこと、初版が昭和29年で、昭和62年にそのまま再版したらしい、翻訳しなおそうよハヤカワ・・。ホテルがすべて「宿」で顧客リストが「宿帳」。「あたしんとこのお主婦さん」という訳がコロンボの「ウチのカミさん」と多分同じ意味なんだと気付くのに3分ほど悩みました。
同年出版の『美の秘密』がまだ読書に耐える言葉づかいなことを考えると翻訳者の方にも問題があるように思います。
英語が出来たらぜひとも確認したい疑問が2つ
①グラント刑事登場:何故かシャープ母娘を追い詰める悪役 他のシリーズの主役とは思えないほど心がとても狭い。現代に例えれば警視庁捜査一課の刑事が愛知県のわいせつ事件を調べるようなもの。ほんとに原作からグラント警部が登場してるのか?
②ベティー兄:ベティー・ケーンは養女で血のつながらない兄の婚約が騒動の一要因だとなってるけど、兄の婚約者を母親が「会ったことがないが、良い御嬢さんだと聞いている」と証言。この婚約者には「何かある」と思ったのに何事もなく事件終了。翻訳は今でこそ原作に忠実にとか言われるけど昔はもっといい加減だったから、ほんとのほんとにどこか事件の真相に関係ない部分を省いてないかな?
良くも悪くも突っ込みどころたくさんで結構楽しめました。