無価値バンドマンのギャラは逆3段スライドする。
- カテゴリ:音楽
- 2015/02/08 07:15:00
好きな音楽をやってお金をいただく……多くの方が夢想する。
今の私のやりたい音楽は、金払うからやめてくれ、と言われそうなジャンルだから無縁。
ただ、お金をいただけるオシゴトというのもやった。これについて書くか。
アマチュアが集まってバンド作って練習、ライブハウスに行くとオーディション。
合格すると、数バンド合同のギグに出られる。チケットはノルマ制。
2000円30枚なら6万をお店に払う。それ以上売ったらお店と折半。
……どーです、楽だとお思いでしょうか? 毎回30人以上動員が必須。
自分たちのギャラ考えたら、もっと売らねばなりません。
それを月に何回もやるのです。お客さんを大勢確保しなければ立ち行かないですよね。
動員力がグワーと伸びて人気バンドになれば問題ないですけど、それはごく一部。
動員への努力もしますが、別の方法で収入を得る道も考えます。
人の音楽を手伝ったり、お店のご注文に応じた音楽をやったり。
お手伝いはヘルプとかエキストラとか呼ばれます。通称トラ。
自分より格上の方のバンドをワンステージお手伝い、だからバンマスに服従です。
最初はノルマ制、ノーギャラ、認められて0.5~1万円ぐらいかなー。
プロ手伝うとハクがつく。いわゆる営業の紹介もしていただけることもある。
呑み屋さんで音楽やって、ギャラもらって帰るという夢のような待遇。
ある店に紹介された。やった。帰りに2万もらった。ウヒョー!
二回目もやった。入りが悪い。そりゃそうだ、俺らは動員力ないし。
帰りに「少しで悪いけど」といわれて渡された封筒は5000円。
いえいえ充分です。次回ガンバリます、よろしく。
三回目、かなり頑張ったがやはり入りが悪い。
「今日はさ……」と相談受ける。いえいえ私達の責任です。ご希望をどうぞ。
食事と酒だけごちそうになってオワリ。遠慮して酒は飲まない、水をもらう。
2万、5000、0という逆3段スライド。こりゃ仕方ありません。
こういう経験をたびたびしました。業界としては鼻つまみ者ですよねー。
動員力ないバンドってのはカス、クズ、ゴミです。お店潤してナンボなんですよ。
プロのトラで行ったら、何と客ゼロ。交通費のみ頂いて帰ったこともある。
値下げやギャラ無しの険悪な交渉現場を横目で見たこともたびたび。
自分はプロには向かない、というのがしみじみ分かってきた頃のお話。
実際の現場では、おそらく今も似たようなモンでしょう。
ストリート系で投げ銭稼いでる方は、凄い稼ぎもあると聞きますが、
継続して安定した収入、というのは……トンデモナク難しきことですぞ。
でも、私は上記のようなお付き合いができて、十二分に満足でした。
ガキ時分から憧れだった方々の前座やトラもできたし、イイ人しかいなかった。
ホントに音楽を愛して、自分のやりたい音を自分の中に抱えている偉人達。
入りが悪いといっても、天候や距離に関わらず毎回来てくださる方もいた。
私達の音楽が一つの支えになってる、みたいなことを仰って下さる方もいた。
人生でこんな経験、そうそうできるものじゃない。宝物みたいな思い出です。
2万、5000ときてゼロで落ち着いた私の市場価値。
充分満足なんです。無価値であることが証明されたのです。
でも、ゼロはゼロなりに存在意義がある。逆3段スライド型音楽人生論、終了です。
食べていく、という最重要事を考えれば難しいのですが……
好き、とか、楽しい、とか、ただそれだけを純粋に(イーカゲンに)継続して追っかけるのも、
それなりに風情のある生き方かな、なんて思います。挫折・敗北者の負け惜しみですが。
本当に難しいことですよね><