やがて春も
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/02/17 08:28:52
昼下がりのカフェ
今日は休みをとって
ぼんやりと見つめているのは
外の景色じゃない
行ってしまったあなたの影
雨がその足跡を消して
ただ響くのは靴音だけ
もう手の届かないあなたの行方
誰が悪かったなんて
知る由もないけれど
そんなことはもうどうでもよくて
ただひとりが淋しいだけ
渡せなかった私の心も
宙に浮いたままどこに行こうと言うのか
後を追いかけたかった でも
追えなかった私が悲しい
愛し合っていた二人を
引き裂いて行って
その切れ端が風になびく
春の予感がする風に
もう春なんてらない
だって独り身は寒すぎて
何がぬくもりをくれると言うのか
冬に閉じこもったままの心に
もう少し勇気があったら
まだ二人はいただろうか
ううん そんなことはない
だって運命の神様が決めたこと
そう言って誰かのせいにすることは簡単だけれど
二人歩く道が違っていたのだろう
それに気づかなかった
盲目になっていた
もう会えない
もう追えない
すくんだままの足を引きずって
季節は移ろうばかり