夕闇
- カテゴリ:日記
- 2015/02/23 08:18:51
海岸の小さなホテル
潮の香りを運ぶ風の中
狭いベランダから
海に沈んで行く夕陽を見ている
明るさもやがて薄暗さに代わっていく
隣には誰もいない
話す相手もいない
こんな一人旅の寂しさも
もう慣れたはずなのに
まだ私はあなたを追っている
もう追いつけない身だと知りながら
なぜこんなに切ないのかを
潮風は知っている
体を覆うその風は
思い出に絡みついて行く
なぜなんだろう
なぜあなたはいないんだろう
なぜ一人なんだろう
答えは夕日だけが知っていて
赤くそれを包んで行く
こんな日が来ることを
もしかしたら
分かっていたのかもしれない
そして恐れていたのかもしれない
背を向けていたのかもしれない
出会って
二人を楽しんで
そして別れが来て
黄昏が包んで行って
もう会うことがなくなった
どんなにか愛しても
恐れを抱いたままでは
幸せにはなれなかっただろう
あなたもきっとそれを
心に秘めていたのかもしれない
もう涙もかれた
でも心だけが泣いている
受け入れたはずの想いなら
乾いて行くがいい
でもひび割れは欲しくない
やがて暖かな季節が来たら
この海もにぎわうだろう
でもそれがかえって悲しくて
ここには来ないだろう
足跡も残せないままに
夜闇が迫って来ても
まだここにいる私
あなたに飛んで行けない想いなら
砂浜にうずめよう
そしてそこからそっと立ち去ろう