雨降らしの風景
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/02/26 09:22:28
昨日まで心地よく晴れた空が
今日はしとしとと泣いている
雨粒の中にはいつも
きらきした街の明かりが
消えそうに映っている
水たまりもできない
足元のアスファルト
小走りに急ぐ人の群れ
どこに行こうと言うのか
ただ立ちつくして眺めるだけ
傘も持たずに
カフェの屋根で雨宿り
分かっていたはずなのに持たないで来た
分かっていたはずの別れの心を
どこかに落してきたくて
雨降らしはどっちだったんだろう
いつも雨が降っていた気がする
いつしかそれが涙に代わるなんて
思いもせずに
ただ勘違いが過ぎて行った
一人で見る街の風景も
何かしら違って見える
いつも見なれたはずなのに
空虚な時間が流れて
まるでベールをかけたよう
この荷物をどうしよう
思いがけずに持たされた荷物を
どこに送ったらいいのだろう
宛名もない送り先を
知らないでいたままで
もう少しこのままで
雨をそっと眺めていよう
そこには何もないけど
別れの風景しかないけど
もう少し二人の姿を見ていたい