さようなら。また今度。
- カテゴリ:自作小説
- 2015/03/11 15:03:51
卒業式ねた
ではどーぞ
↓
卒業式。
それは、別れの日。
今まで過ごした校舎、教室、クラスメイト、先生、仲間、後輩・・・・・。
数え切れないほどたくさんのものに別れを告げなくてはいけない日。
巣立っていく卒業生の中にはもちろん僕の姿もあった。
さまざまな祝辞や祝電を読み上げる声が聞こえる。
だけど、本当におめでとうと思って言ってくださっている人はほんの一握り。
行事だから、卒業式ってこういうものでしょ?と言った雰囲気も感じられる。
僕のひざの上でおとなしく座っているコンちゃんを周りに気づかれないようにそっと抱きしめる。
今日でお別れなのだ。
みんなとも。
一年も一緒にいられなかったなと寂しくなる。
アルスができたのは1学期の期末考査が終わったあたり。
僕とぱっくんの出会いからだ。
みんなで修学旅行にも行ったし夏合宿もした。
誕生日もお祝いしてもらったしお祝いもした。
だけど、楽しい時間はあっという間に過ぎた。
僕が奏君やアキラっちょと同学年だったらあと1年一緒に居られたのに。って考えたこともあった。
卒業式が終わって教室に戻る。
涙を流しながら抱き合う人や、手紙を渡しあう人たち。
一生忘れないよなんてことがよく言えたものだ。
そんなクラスメイトの間をすり抜けて僕は待ち合わせの場所へ足を進める。
毎日放課後になると足を運んだ場所。
テスト期間中もみんなで勉強した。
昼になるとみんなでお昼を食べた。
さまざまな曲のフリいれもした。
悔しくて涙を流した場所。
みんなの笑顔があふれかえっていた場所。
「お待たせ・・・っ!」
部室のドアを開けてそういうと僕の大好きな人たちが振り返った。
「遅いぞー、タツキっく」
「主役が最後ってなんだかわくわくしますね!!」
「パク、うるさいですよ。」
「じゃあ、そろったことだし、はじめようか。」
先生の声に最後の部活が始まった。
本当なら部活はしちゃいけないし、卒業式が終わったら卒業生は速やかに帰宅しなければならない。
タツキの願い事を聞いてあげる。
準備室に遊びに行ったときに先生が言ってくれたこの一言。
「最後に、いつもどおり部活がしたいです。
みんなと踊りたいです・・・・」
僕のお願いを先生は聞いてくれた。
いつもどおりいろんな曲のダンスを踊った。
最後に通したとき涙がこみ上げてきた。
みんなとこの部屋でダンスをするのもこれで最後なんだなって。
この部屋に来るのも最後なんだなって。
いろいろなことが終わったんだなって。
今までしてきたことも忘れられていっちゃうのかなって。
アルスで居られなくなっちゃうんだなって。
寂しい。
寂しいよ。
寂しいに決まってるじゃないか。
だけど、僕は上級生だから。
最後までちゃんと笑顔で居なくちゃ。
涙を拭い取る。
今まで、泣かないように、心配かけないようにがんばってきたじゃないか。
それをここで終わりにしてどうする。
最後までやりきってこそアルスマグナだ。
すべて踊りきったとき胸の中にぽっかりと大きな穴が開いた気がした。
「僕のお願いに答えてくれてありがとう・・・・・
今まで、ありがとうね
さようなら・・・・」
そういってみんなに背を向けたときに聞こえたおいっ!といアキラっちょの声。
「さようならじゃないだろ?
また、今度なっ!」
「そうですよ。
卒業してもタツキ先輩はアルスマグナです。」
アキラっちょに続いて聞こえた奏君の声。
「毎日来てくれていいんですよ!?
むしろ、毎日来てください!!」
ぱっくんの大きな大きな声。
「そうだぞー。
タツキはずーっとアルスマグナだ。
アルスに卒業、なんて文字はないんだからなー?」
先生のあったかい声。
「ねぇ、最後にわがまま言ってもいいですか・・・・・?」
涙をこらえながらみんなに問う。
口々に聞こえるいいよの声。
「ずっとずっと、友達で居てね。
仲良く、してね。
迷惑な、ぐらい、連絡、とって、きてね。
遊びに・・・きてね」
もう涙が止まらなかった。
最後の最後なのにこんなに格好悪い姿見せられないよ。
「あったりめーだろ?」
「もちろんですよ。」
「先輩の家におしかけますっ!!」
「じゃあ、先生はタツキを抱きしめにいこっかなー?」
みんなにぎゅーって抱きしめてもらった。
3月11日
今日は卒業式でした。
僕のお願いを聞いてもらって部活でたくさん踊りました。
わがままも聞いてもらいました。
僕は幸せ者だなって思います。
だけど、泣いちゃったのは悔しかったな。
最後の最後くらい、かっこいい僕で居たかったです。
いや、最後なんかじゃありません。
みんなが教えてくれました。
僕はいつまでもアルスマグナの一員です。
1年もなかったけれど、僕にたくさんのことを教えてくれてありがとう。
たくさんの思い出をありがとう。
たくさんの愛を、ありがとう。
そう綴った日記をしまう。
大好きな彼らとの写真を挟んで。
さようなら。
また今度。
END
すごく心温まるお話で感動しました( ;∀;)
登場人物皆いい人すぎる・・・
最後、なんかいいなーd
そっか、タツキっく3年だからほんとは卒業かぁ…
皆の言動、イケメンやね
タツキっく可愛いわd