封印
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/04/08 09:17:55
大切にしていた心の鍵を
こじ開けてしまったのは誰
そこにはどんな風景があったのだろう
見ることさえもできないで
ただ扉の陰に隠れる
どうして開いてしまったのだろう
そこには取り出すものもなくて
光もささないまま
北風が吹くだけで
春の訪れなんて見えやしない
開けたくなかったのだろう
何かが壊れて行きそうで
歯車がかみ合わなくて
そんな現実を
見たくなかったのだろう
でも本当は
扉の向こうにあるものが
今の私達には足元に
くっきりついていたのかもしれない
だから目をそむけていたかった
本当に愛していたのだろうか
本当に愛されていたのだろうか
移ろう季節と言う時間の中で
寄せては返すさざ波の中なかで
立ちつくしていたのかもしれない
鍵をこじ開けたのは誰
あなたかもしれない 私かもしれない
扉の外と内側に別れてしまった二人の
間には遠い距離だけがあって
別離と言う風が吹くだけ