僕だけ一人 下
- カテゴリ:自作小説
- 2015/04/13 20:47:47
僕は引き出しから紙と封筒とペンを取り出した。
世に言う最後の手紙だ。
書きたいことは山のようにある。
思い出しているうちに涙が止まらなくなった。
不思議な話だが、このときだけはすべての記憶が僕の中にあった。
みんなでわいわい晩御飯を食べてみんなでわちゃわちゃたくさん話した。
そして、みんなが寝静まった深夜1時。
僕はアジトをこっそりと抜け出して、お気に入りの廃ビルに来ていた。
手紙はアジトに置いてきた。
なんのための手紙だったか、誰に対しての手紙だったかは覚えていない。
ふと、涙が溢れ出した。
今日の僕はなんだか泣き虫だ。
「・・・・ごめんなさい。
・・・また、いつか。」
僕は廃ビルの屋上から身を投げた。
地面が徐々に近づいてくる。
さっきまで、忘れていたことをたくさん思い出した。
姉ちゃんが死んで、セトとキドのことを守らなくちゃと決心したこと。
みんなとたくさん騒いだこと。
すべてがいい思い出だったな。
やだ、死にたくないよ。
僕は弱虫だから逃げ出したかっただけなんだ。
ごめんなさい。
大好きでごめんなさい。
地面に体が付く直前に思ったのはそれだけだった。
*セト*
朝からカノの姿が見えなかった。
8時になってもおきてこなかったので、カノを起こしに部屋に入った。
そこに、カノは居なかった。
部屋は不気味なくらい片付いていて物が少なかった。
気になったのは布団の上に置かれた封筒。
いやな予感がした。
「き、キドっ!
カノの部屋にこんなものが!!」
手紙をキドに渡す。
「・・・カノがこんなものを?」
といいながらキドは封筒を開けた。
「手紙・・・みたいだな。
俺が代読しよう。
Dear→メカクシ団
まずはじめに、この手紙を読んでいるということは僕はもう、この世には居ないでしょう。
探す前にこの手紙を読んでくれるとうれしいです。
僕は先日記憶障害だと病院で診断されました。
そのまえに行った任務で僕は敵に捕まり、何かされたみたいです。
そのときに僕はNO,71-M23と呼ばれ、首輪をつけられました。
熱を出して倒れたときにセトに見つかったあの首輪です。
おしゃれというのは真っ赤な嘘です。
ごめんね、セト。
みんなのことを忘れていく恐怖とみんなに迷惑をかけるという気持ちから僕は命を絶つことを決意しました。
相談せず、勝手に決めてごめんなさい。
Dear→キド
僕の友達第一号であり、けんかした人第一号であるキド。
昔から、キドの性格が好きだったな~。
いつも、おいしいご飯をありがとうね。
いつも、いろいろなことをしてくれてありがとうね。
いつも、迷惑かけて、心配させてごめんね。
僕の幼馴染でいてくれて、家族で居てくれてありがとう。
これからも、メカクシ団のお母さんとしてがんばってね。
Dear→セト
セトは昔、あんなに泣き虫でビビリだったのに、いつの間にかイケメンでいい男になっちゃったね。
今になってはセトはメカクシ団のお父さんだね。
お兄ちゃんの僕が取り残されちゃってる感じだったよ(笑)
話は変わっちゃうけど、僕はセトのことがずっと好きだった。
家族とかって意味じゃなくて、恋愛的に。
気持ち悪いよね。ごめんね。
それから、嘘ついてごめんね。
これからもバイトとかで大変だろうけど、無理せずがんばってね。
応援してます!
Dear→マリー
いつもからかってごめんね。
ふわふわしてて可愛いマリー。
マリーの入れてくれたお茶を飲みながら会話をするのが好きだったな~・・・。
マリーは自分は何もできないって思ってるけど、そこに居るだけで十分だからね。
僕は知ってるよ。
いつも、ひたむきにがんばってて。
そんなマリーを応援しています。
これからも、がんばってね。
Dear→キサラギちゃん
アイドル活動お疲れ様!
元気なキサラギちゃんと話してるの楽しかったよ!
お仕事入れすぎて倒れたりしないように気をつけてね?
ずっとキサラギちゃんのファンだからね!
がんばってね。
Dear→エネちゃん
早く、シンタロー君に本当のことを話すんだよ?
僕だってちゃんと謝ったんだから!笑
いつも元気なエネちゃん。
辛くなったらみんなを頼りにしてあげてね。
君は僕と似てるから。
がんばれ!
Dear→シンタロー君
いろいろとごめんなさい。
僕は最初君のことが大嫌いだった。
だけど、今はとても大切な仲間だよ!
これからも、みんなと仲良くね!
後の2人は家のほうに入れておきます。
僕はここに居ます。
***-****
愛してくれてありがとう。
愛させてくれてありがとう。
迷惑かけてごめんなさい。
みんな大好きだよ。
From→カノ」
涙が止まらなかった。
涙でぐちゃぐちゃになった顔のまま俺たちは手紙に書かれた住所に向かった。
そこにはカノが倒れていた。
もともと白い肌はさらに白くなっていた。
「カノ・・・・・
うそっすよね!?
ねぇ!!
目を開けて!?
俺を置いていかないでよぉぉぉ!!!!!」
力のない彼を抱きしめた。
キドは後ろでただ泣き続けていた。
「俺も、カノが好きだった。」
同情とかでもない。
言っておけばよかった。
こんなに辛いなんて思わなかった。
ごめんね。
そうつぶやいて、俺は冷たくなった彼の頬にキスを落とした。
「カノ、これからもずっと愛してます。」
彼の墓に手を合わせてそういうとどこからか僕もだよと聞こえた気がした。
END
答えが見つからんww
まぁ、書きたいことは書きました←
コメントしてくれるとうれしいです
涙が・・・。カノぉ・・・。