俺だけの秘密
- カテゴリ:自作小説
- 2015/05/16 21:18:48
君の知らない物語モチーフ
Side *Akira*
いつも通りの夏の日のこと。
タツキが突然立ち上がり言った。
「ねぇ、今夜みんなで星、見に行こ!」
「たまにはタツキもいいこと言うじゃないかー」
えらいぞーと先生に撫でられながら歩くタツキ。
朴をはじめ泉までもがわちゃわちゃとにぎやかに明かりもつかない道を歩いていた。
抱えていた不安や孤独に押しつぶされないように。
真っ暗闇だった世界から見上げた、アルスのメンバーっていう名の夜空は星が降るようにきれいで。
いつからだろうか。
タツキのことを追いかけている自分がいた。
どうかお願い、驚かないで。
俺のこの気持ちに。
「あれがデネブでー、あっちがアルタイルー、これがーベガ!」
タツキが嬉しそうな笑顔で指をさすのは夏の大三角。
場所を覚えて空を見上げる。
「さっきまであそこにあったのにな~・・・・
あ!
あったよ!織姫さま!
だけど、彦星さまがどこにもいない・・・・。
これじゃ、ひとりぼっちだね」
落ち込むタツキを励ますみんな。
楽しげな笑顔に戻るタツキ。
俺は何もいってやれなくって。
本当は出会ったときから俺は・・・・。
分かってたんだ。
見つかってしまったってこの気持ちはタツキには決して届かないこと。
泣いたらだめだ。
そう自分自身に言い聞かせた。
強がっている俺は本当は臆病で。
恋愛なんかに興味がないようなふりをしてた。
だけど、胸を刺す痛みは増していく。
そっか。
好きになるってこういうことだったんだ・・・。
「アキラっちょ、今まで黙っててごめんね。
今まで言わなかった僕に怒ってる?
どうしてくれても構わないよ。」
と、そういったタツキは真っ白な病室で真っ白なベットの上にいた。
「俺は・・・・俺はタツキの隣にいたい・・・・・!!」
俺の言葉にタツキは丸く目を見開いて、でもしばらく間をおいてから首を横に振った。
「ダメだよ・・・。
ダメだよ、僕はもう死んじゃうんだもん。
アキラ君が僕の隣に居てくれたらそりゃ、僕だって嬉しいし心強い。
だけど、僕はもう死んじゃうから・・・・」
涙を流しながら淡々と理由を述べていくタツキ。
「そっか。
タツキの意見にはやっぱり逆らえないな・・・」
俺はそれだけ言うと病院から走り出した。
「真実って何でこんなに残酷なんだよ!!!!!!」
涙が止まらなかった。
こんなに泣いたのは久しぶりかもってくらいに泣いた。
言わなかった。
いいや、いえなかった。
もう二度と戻れないあの夏の日の星のようにきらめくタツキの姿。
あのときの様子、今でも鮮明に思い出せるよ。
笑った顔も怒った顔も大好きでした。
おかしいよな。
今なら伝えられるタツキの知らない俺だけの秘密。
夜を越えて、俺の中の思い出でしかなくなってしまったタツキがあの日の夜空に指をさす。
無邪気な声でしゃべりながら。
END
腹痛な雨でした。
可愛すぎるだろ、アキラさん!ww
この曲に超ピッタリじゃん!ww