『伝道の書に捧げる薔薇』
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/05/21 01:10:08
『メメント』に続いて、GW中に消化した作品で面白かった物を紹介したいと思います!
特にこの小説は、今年読んだ中でも今の所1位の作品です(・ω・)ノシ
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『伝道の書に捧げる薔薇』
ロジャー・ゼラズニイの71年の作品が、今年ハヤカワ文庫70周年で名作の新訳or新装版として再版された物です。
15本のSF中篇、短篇が収録されており、全ての作品が60年代半ばに書かれているため、人間型の火星人や、惑星移住等々レトロなSF設定が並びますが・・・・
その設定の古さを差し引いても、非常に面白い作品が多かった一冊です!
中篇では、金星での巨大恐竜との死闘を独特の文体で描く
「その顔はあまたの扉、その口はあまたの灯」
特殊に変異した人類の一団が、辺境の星を自分たちに適応した星へとテラフォーミングする、
「十二月の鍵」
火星の舞姫と恋に落ちた詩人の物語で、表題作の
「伝道の書に捧げる薔薇」
いずれも、ロマンスとSFの要素を上手く融合させている事に加えて、古代神話や聖書、あるいはアーサー王の騎士伝説などからのモチーフを上手く取り込んだ秀作に仕上がっています。
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そして私が気に入ってるのは短篇の数々です。
ギリシアのラミアやインドのダキニ天をモチーフにした、死を目前にした男性の前に現れる妖女ファイオリの物語
「ファイオリを愛した男」
記憶した過去が、頭の中で逆行する病状に悩まされる
「聖なる狂気」
殆どの人類が居なくなった地球の都市で、一人の男が行動する
「ルシファー」
そして、ギリシア神話、北欧神話、旧約聖書、コーランに共通するとある神の”現在の姿”を描いた、
「愛は虚数」
ショートショートの様に短い作品も有りますが、神話や古典から繰り返されてるモチーフを射影する事で、人類や歴史の本質を上手く捉えてて、今の時代に逆に新しい発見があるそういった短篇集でした~(・ω・)ノシ
はい、栄養とって休んでくださいね(・ω・)ノシ
吉本ばなな作品も読み易いと聞きますから
ゆっくり堪能してくださいませ~(・ω・)ノシ
SFでも科学考証や宇宙物理などをあまり考えない、
「伝道の書に捧げる薔薇」のように人間物語や象徴的な物語は多いので、
機会が有ったら探してみてください>ル・グウィンのSFなんかも
が、ニコタの方とお話ししていて、吉本ばななさんを読みたくなり、
ヤフオクでまとめて購入してしまったので、ばななさん三昧が終わったら読んでみます( *´艸`)
「伝道の書に捧げる薔薇」は機会が有ったら是非~、
中篇なので短時間で読み易いと思います(・ω・)ノシ
「愛は虚数」は、古典や神話の類が今も読まれたり
新作のモチーフに良く使われるのは、
ヒトにとって不変のテーマや魅力が有るんだなあ、と改めて教えて貰える作品です
今回復刊されたのはSF作品ですが、
ゼラズニイは「アンバーの九王子」「光の王」「ディルヴィッシュ・シリーズ」と
ヒロイック・ファンタジーも多いです!
「伝道の書に捧げる薔薇」では主人公がリルケの詩等を火星人に語りますが、
元ネタを理解しようとせずとも、
話の運びと登場人物の吐息まで聞こえるような筆の上手さで楽しめると思いますよ(・ω・)ノシ
タイトルも内容もロマンチックな感じですね!
『愛は虚数』も神話を基にしているようなので読んでみたいです!
ロジャー・ゼラズニイの作品は世代を超えて愛されてるSFの名作なんですね。
私にも読んでみたくなりました(^-^*)
神話や古典の要素が私に理解できるか不安ですけど。