どうして私の邪魔をするの?
- カテゴリ:自作小説
- 2015/06/11 22:25:14
「そこをどいて」
「どかないわ」
「アレフと私をくっつけたくないのね」
「そうじゃないわ。そうじゃないけど・・・」
「それ以外にどんな理由があって、今、リーザの邪魔をしているって言うのよ」
「あなたの命に関わる事なのよ」
「リーザの命?いくら親友であるマリアと言えど、言っていい冗談と悪い冗談があるでしょ」
「リーザ、私はもともと冗談なんて言う人間じゃないってよくわかるでしょ」
「・・・それは・・・うん。」
「ほんとにあなたの命に関わる事なの」
「わかった、わかったから・・・何。話して」
「悪魔がこの渓谷に迫っているの」
「悪魔が?」
「そう。そう聞いたの」
「マリア、あなた・・・頭でも打ったの?大丈夫」
「嘘じゃないわ。ねえ、この渓谷の空気の淀みを感じない?何かおかしいって思わない。」
「・・・別に。いつもと変わらないと」
「リーザ、とにかくここから逃げよう」
「落ち着いてマリア」
「何を落ち着くのよ」
「悪魔なんて来ないわよ」
「でも、リーザ」
「ほら、見て。後ろから歩いて来るのは・・・黒いローブを身にまとったただ1人の老婆よ」
「え?後ろから?後ろにはレティしかいないよ」
「・・・え?あっ、ごめん。リーザの後ろ。そう、リーザの後ろだから、マリアにとっては前かな」
「・・・そんな老婆、私には見えないよ。リーザ、何を言っているの?どうしちゃったの?」
「うそ!」
「ほんとよ。だから早く逃げよう。老婆はどこにいるの?もうすぐ近くまで来ているの?」
「・・・」
「リーザ、返事をして」
「飲み込まれたわ」と、レティは言う。
「そんな」と、マリアは地面に膝をつく。
リーザは消えていた。
一体どこへ消えてしまったのか。