Nicotto Town



『音楽家』オーネットへの偏見


オーネットコールマン逝去。いろいろ考える。
この人にカブレたことはない。なぜだろう。
うーむ、結果的に素晴らしい戦略を実行してしまった天才『音楽家』だからだろう。

初期はアマチュアリズムと紙一重の無邪気で気持ちイイ演奏。
この時期、ド素人でも表現したいことがあれば音楽たりえる、という可能性を呈示してしまった。
これは物凄いことだった。現代のミュージックシーンを見れば分かる。私もその一人。

『フリージャズ』もおそらく思いつきで作られた。ディキシーやアフリカ音楽と同根である。
その可能性を音楽的に昇華させたのはマイルス一人だったかもしれない。
『マシンガン』や『アセンション』よりも『フィルモア』のほうがオーネットに近いのでは?

ハーモロディックはインチキ極まりない似非理論と捉える人も多い。
『ヴァージン・ビューティー』あたりを聴くと、そういう話がバカバカしくなる。
全部入れて好き勝手やったらこんなんできましたー、的軽みの極み、理想のポップ。

結果的に、商業音楽に活用できる種々のアイデアを(無意識に)実現した凄さ。
ドルフィー、トレーン、アイラー、テイラーに出来ず、マイルスが切望したこと。
モーツァルト的であり、現代の音楽プロデューサー的でもある。

ただのヘッポコ演奏家である私はオーネットをコピーしたいと思ったことがない。
なぜか。『演奏家』の生きざまに憧れ『音楽家』には興味が持てないためかも。
崖っぷちで落ちる寸前、ギリギリの一瞬というものがオーネットには希薄である。

むしろ、畳の上に座布団並べてゴロゴロしてるときの鼻歌、とでもいうような、
素の日常を開示した音楽といった佇まいを感じさせる部分が強い。
無頼という印象もない。私はこうした在り方が苦手だが、好みに過ぎない。

……うーむ。真剣にオーネットを聴いてる方々に喧嘩を売るような文になっちゃった。
でもオーネットは結果的に音楽的マジョリティになったと思います。
だからマイノリティの私は苦手なのでしょう。音楽家、にはなりそうもない。




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