Nicotto Town


テスト公開


シリアでISに加わった仏女性、激動の3か月間

【7月7日 AFP】彼女は、「アラーの法律が支配する土地」へ移り住みたかった。だが気付けば、女性が性の対象物として扱われる専横な暴力の世界に捕らわれていた。

 フランス人女性のナディアさん(21歳・仮名)は、今年の春にイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」のメンバーにネットのチャットルームで勧誘され、ISが「首都」と呼ぶシリア北部ラッカ(Raqa)へ渡った。

 だが彼女はすぐに幻滅した。過激化したIS戦闘員らが「コーランよりもカラシニコフ銃について夢想していた」からだ。

 ラッカでISと過ごした激動の3か月の間に、彼女はISのメンバーと結婚・離別し、2回投獄された。それから何とか国境を越えてトルコに渡った末、警察に拘束された。

 AFPの特派員は先月、トルコの都市ガジアンテプ(Gaziantep)で本国送還を待つナディアさんへの独占インタビューという、前例のない機会を得た。

 インタビューは、ナディアさん側も希望したものだった。他の女性たちに、自分のようにISに参加しないように呼び掛けたかったという。

「私は、『欧米は自分たちの敵だ。ダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)はカリフ制国家だ』と言っている若い女性たちの目を覚まさせるために話します」「ダーイシュはカリフ制国家ではない。セクト(危険な宗教集団)です」

 ナディアさんは先月23日にフランスへ送還され、入国と同時に逮捕された。安全上の理由から本名は公表することができない。

■IS「首都」ラッカへの道のり

 学生だったナディアさんは、自分の寝室に閉じこもり、パソコンのスクリーンを毎日見つめ続けているうちに、徐々に両親と距離を置き始め、大学も中退した。

 ISの勧誘担当者らとは、何日にもわたってやりとりをした。フランスはイスラム教を敵視する国であり、ナディアさんはこのままだと地獄に落ちる、と言われて怖くなり、最終的に「アラーの法が支配する場所にいく」ことを決意したという。

 ネット上の勧誘担当者らはまず、1800ユーロ(約24万円)の偽の小切手を送ってきた。ナディアさんは小切手が不渡りになる前に現金化した。

 フランスからは飛行機に乗るな、イスラム教の服装はするなと指示された彼女は、3月4日にスイスのジュネーブ(Geneva)に行き、そこからトルコのイスタンブール(Istanbul)へと飛んだ。

 そこで2人の男性に会った。彼らは、シリアと国境を接するトルコ南東部のシャンルウルファ(Sanliurfa)までの長いバスの旅の運賃をくれた。バスから降りると、別の2人の男性に連れ添われ、そこで顔を覆うニカブを着るように指示された。

「私たちは違法な国境地帯へと入って行った。20分歩き、有刺鉄線を越えたところで、車が待っていた」と、ナディアさんは振り返った。

 それから彼女はトルコと国境を接するシリアの町テルアビヤド(Tal Abyad)へと車で連れて行かれた。当時はISの支配下にあった町だが、今はクルド人たちが奪還した。

■結婚の強要、疑惑から投獄・暴力へ

 ナディアさんは3月7日にラッカに到着した。そこで他の女性数人と1つの家に軟禁された。「ここを出たかったら、誰かと結婚しなければならない。そうでないと一生ここで暮らすことになる」と言われ、両親に電話をかけることもネットを見ることも、すべて禁止された。

 2週間後に、自分を勧誘したフランス語が母語の男と結婚することに同意した。しかし、「結婚」を1日で破棄し、他のフランス人女性2人と一緒に住むことを許された。

 だが、仏情報機関とのつながりを示す名刺をナディアさんが持っていたことをルームメートらが発見した。ナディアさんはかつて、いとこの過激派との接点が疑われた際に情報機関の取り調べを受けたことがあった。「(ISの)警察を呼ばれ、私は投獄された」

 ISが管理する地下牢獄で、独房での監禁と暴力に耐えた後、ナディアさんは解放され、男性にトルコとの国境まで連れて行かれた。「『フランスに帰っていいが、誰にも何も言わず、すべて忘れろ』と言われた」という。

 どうしてそうなったのかは、はっきりしない。ISに参加して欧州に戻ってきた人は非常に少数だ。ナディアさんも、なぜISが国外脱出に積極的に協力したのか、説明しなかった。

 ナディアさんはトルコに入国した後の6月1日、フランス当局からの情報を得ていた警察に身柄を拘束された。

■女性は「男たちのための商品」

 ナディアさんは、解放された頃には既にISの教義や戦略に幻滅していたと語る。

 ISの戦闘員たちの生活について、「イスラム教に従っていたものはほとんどない。コーランもほとんど読まず、ただ戦争のスローガンを唱えて生活していた」と語った。「大半はイスラム教に改宗した人々で、イスラム教についてほとんど知識がなく、シリアについてすぐに学ばなくてはならなかった」

 そしてISに協力する女性たちは、戦闘員らの性欲のはけ口でしかなかった。「私たちは男たちのための商品だった。彼らは『俺はブルネットがいい。ブロンドがいい。これぐらいの年のこんな女がいい』といったリストをもっていた」という。

 ナディアさんは今、フランスでの新しい生活を夢見ている。両親との関係を修復し、インターネットを遮断した生活だ。「同年代の女の子と同じように、フランスでまっとうな暮らしを送りたい。外に出て太陽を浴び、空気を感じることができるなんて、不思議な気分だけれど」(c)AFP/Fulya OZERKAN/Emmanuelle BAILLON

http://www.afpbb.com/articles/-/3053122?pid=0

 

#日記広場:ニュース




月別アーカイブ

2025

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.